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2011 年度 実績報告書

組織間関係論の国際実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 23402037
研究種目

基盤研究(B)

応募区分海外学術
研究分野 経営学
研究機関一橋大学

研究代表者

西口 敏宏  一橋大学, イノベーション研究センター, 教授 (20270928)

キーワード経営学 / 経済理論 / 社会学
研究概要

本研究は、国際発展の目覚ましい新興華人による組織間関係の事例を比較分析し、その企業家活動の形成と発展のメカニズムを実証的に検証し、最新の知見を得ることによって、組織間関係論のフロンティアを探ろうとする試みである。
具体的には、新興華僑の中でも伸長著しい温州人企業家のネットワークと組織間関係を研究対象の中核とし、福建人や広東人等との比較の視座を織り込みながら、温州人が活動拠点とする欧米や中国各地に形成された温州人コミュニティーを、4年がかりで徹底的に調べ上げる国際的なフィールド調査を実施し、彼らが形成する人的ネットワークの構造特性や動的メカニズムを、最新のオリジナルデータによって実証的に明らかすることを企図している。
上述の方針に従い、平成23年度は、欧州の中でも特に温州人の人口が多いイタリア(プラート、フィレンツェ、ローマ、ナポリ)、ならびに、西欧と東欧との結節点として重要な役割を果たしているハンガリー(ブダペスト)の現地調査を実施し、リーマン・ショック以降、欧州の景気が低迷する中で、新興華僑がいかなる戦略的行動をとっているかを現場で丹念に探った。
これと併行して、将来的な学術出版の準備作業として、最新のネットワーク理論とソーシャル・キャピタルの枠組みを援用して、温州人企業家と福建人企業家の行動特性の違いを比較分析し、2本のワーキングペーパーにまとめた。さらに近年、バブル経済への傾斜を危惧する中国政府が打ち出した一連の経済引き締め政策が、特に民間金融と不動産投資に参入していた多くの温州人企業家に影響を及ぼした最新の事象に鑑み、この問題を扱う論考を3本目のワーキングペーパーにまとめ上げた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

学歴や専門知識等で中国内でも平均以下とされる温州人が、異国の地で短期間に企業家として成功し国内外のビジネスで繁栄しているのは、相当部分で、彼らが形成する人的ネットワークの構造特性、および、相補的に機能する組織間関係のあり方に依拠すると想定される。そうした特異なメカニズムを、最新のオリジナルデータによって実証的に明らかにすることが、本研究の眼目であり、平成23年度の集中的な欧州フィールド調査は、印象論的な報告記の類が多い既存文献を超えて、こうした研究目的に沿う独自データを発掘し、体系的に分析し直すために大いに役立つであろう。

今後の研究の推進方策

平成23年度の成果に基づき、これまでに収集した証拠を用いてさらなるワーキングペーパー等の形で発表し、将来の出版への布石を敷くとともに、対象となる組織間関係の形成や構造、機能を、欧州に次いで温州人企業家の人口が多いとされる北米におけるフィールド調査を鋭意実施しながら、より詳細に深掘りし分析してゆく。なお、海外訪問先は平成23年度の研究計画調書(4年分)や交付申請書等に記載された内容に沿って進める予定であるが、途中、紹介先や研究上等の都合によって、適宜順序を入れ替えたり、追加、変更等を行うことも視野に入れる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 温州人企業家の成功への道--ネットワークとソーシャル・キャピタルの活用2012

    • 著者名/発表者名
      西口敏宏・辻田素子
    • 雑誌名

      一橋大学イノベーション研究センター・ワーキングペーパー

      巻: WP#12-03 ページ: 1-54

  • [雑誌論文] 福建人のネットワークとソーシャル・キャピタル--在日福清人を中心に2012

    • 著者名/発表者名
      辻田素子・西口敏宏
    • 雑誌名

      一橋大学イノベーション研究センター・ワーキングペーパー

      巻: WP#12-05 ページ: 1-41

  • [雑誌論文] リーマン・ショック以降の温州企業--温州モデルの再考2012

    • 著者名/発表者名
      西口敏宏・姜紅祥・辻田素子
    • 雑誌名

      一橋大学イノベーション研究センター・ワーキングペーパー

      巻: WP#12-06 ページ: 1-30

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公開日: 2013-06-26  

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