研究課題/領域番号 |
23402037
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
西口 敏宏 一橋大学, 大学院商学研究科, 教授 (20270928)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 経営学 / 経済理論 / 社会学 |
研究概要 |
本研究は、国際発展の目覚ましい新興華人による組織間関係の事例を比較分析し、その企業家活動の形成と発展のメカニズムを実証的に検証し、最新の知見を得ることによって、組織間関係論のフロンティアを探ろうとする試みである。近年、米国を中心に数理モデルを用いたネットワーク研究が進展したが、シミュレーションや共著者データ等に依拠したネットワークのマクロ構造分析が主であった。本研究は、そうした既存研究を経営学的視点から見直し、属性の異なる個人や組織同士の連携がいかなる構造変化を生み、いかに機能する時に成功につながるのか、そのミクロメカニズムを実証的に探究する。最新のネットワーク論の知見を組織間関係論の視座に織り込み、組織間の戦略策定や意思決定に理論的・実践的な知見を提供することを企図する。 上述の方針に従い、平成25年度は、これまでの実証調査研究データをまとめ上げ、マサチューセッツ工科大学スローン・スクール・オブ・マネジメントにおける研究発表(2013年4月)や、国際ビジネス研究学会ならびに組織学会の年次全国大会(2013年10月、11月)における学会発表を遂行するとともに、最新の研究成果をワーキングペーパー3本(英語1本、日本語2本)の形で公表することによって、積極的な発信を図り、好評を得た。 加えて、来たるべき学術出版(有斐閣を予定)への準備作業を推進し、最新のネットワーク理論とソーシャル・キャピタルの枠組みを援用した、温州人企業家のネットワーク戦略とその特徴的なコミュニティーに関する研究書決定版の上梓を目指して、鋭意、作業環境を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新華僑である温州人が、異国の地で短期間に企業家として成功し国内外のビジネスで繁栄しているのは、彼らのコミュニティーで共有される豊かなソーシャルキャピタルに依存する人的ネットワークの構造特性、および、相補的に機能する組織間関係のあり方に依拠すると考えられる。その特徴的なメカニズムを、最新のオリジナルデータによって実証的に明らかにすることが、本研究の目的であり、これまでに蓄積された実証データ分析に依拠しつつ、平成25年度においては、日米両国における公式の学術発表、ならびに、最新成果の日英両語のワーキングペーパー化(計3本)を通して、さらに世界発信してゆくための確固たる準備作業が整ったといえよう。こうした進展は、研究対象の組織間関係の論理と機能をいっそう深掘りしてゆく上で、従来の印象論的な報告記の類を超えて、研究目的に沿う独自データを発掘・整理し、体系的に分析し、その統合的な成果を世に問う今後の総まとめの段階で効果的に作用しよう。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の成果に基づき、これまでに蓄積されたフィールド調査データに依拠するさらなる実証分析を深化させ、学術書出版の準備を進めるとともに、対象となる組織間関係の形成や構造、機能を、欧州に次いで温州人企業家の人口が多いとされる北米におけるフィールド調査を鋭意推進しながら、より詳細に研究の総まとめを目指し、鋭意努力していく。なお、海外訪問先は研究計画調書や交付申請書等に記載された内容に沿って進める予定であるが、その途上で、紹介先や研究上等の都合によって、適宜、順序を入れ替えたり、追加、変更等を行うことも視野に入れる。
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