研究課題/領域番号 |
23402044
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
秋庭 裕 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (40222533)
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研究分担者 |
川端 亮 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00214677)
稲場 圭信 大阪大学, 人間科学研究科, 准教授 (30362750)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | SGI / SGI-ITALIA / SGI-USA / 世俗化 / 創価学会 / 日本型新宗教 |
研究実績の概要 |
平成26年度は、5カ年計画の本調査研究の4年次であった。年度当初の計画に基づき実査を行うとともに得られたデータによりながら論文作成中である。 実査は、9月に南イタリア・シチリア島カターニャ市とナポリ市において行なった。また3月にSGI-USA調査におけるデータ収集の締めくくりにサンタモニカのSGI PLAZAのライブラリにおいて主に文献調査を実施した。南イタリア調査では、非常に興味ふかく検討の価値ある作業仮説を得た。つまり、イタリアSGIは欧州でもっとも会員数が多く(6万人以上)、現在なお伸長著しい地域であるが、会員は北イタリアに多く、南イタリアに少ない。 元来カトリック信仰の篤い地域であるイタリアにおいて、13世紀日本に端を発した信仰が、21世紀初頭なぜこのように受容されつつあるのか考究に値する課題であるが、これまでのイタリア調査において得られた知見から、「ある程度の強度」のカトリック信仰の浸透度合いが、日蓮仏法への入信に際し促進的に作用するのではないかと考えている(しかし、カトリシズムの非常に強い南イタリアでは、新入会者は北イタリアのように多くはない。これはカトリシズムが外来の信仰に対し障壁となっているためであると考えられる)。 イタリア南北の上述の差異は、SGIの教えは、世俗化が進みすぎていない(ある程度は進んでいる)、しかし、伝統宗教が強すぎない(ある程度は強い)、産業化や近代化へのステップの発展途上段階の社会状況に適合的なのではないかということである(おそらく、創価学会が急成長した戦後日本の社会状況もこれに似ると考えられる)。 3月実施のSGI PLAZAのライブラリの実査では、SGI-USAの機関紙のバックナンバーを精査した。これによって現在執筆中の研究書のレファレンスをいっそう充実させることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、年度当初の計画のとおり、イタリア北部ミラノと南部シチリア島カターニャおよびナポリ市で調査を実施でき、欧州調査での調査の進捗を見た。 また、SGI-USA調査はサンタモニカのPLAZAライブラリでの機関紙のバックナンバーを精査することができ、順調に研究データの蓄積ができた。 反省点としては、アメリカ調査のまとめがまだ完了していないことである。現在執筆継続中。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では、概ね申請当初の研究計画にしたがって、実査・分析・論文作成を進めることができると考えている。 今年度は、アメリカ調査の取りまとめと9月の日本宗教学会の学術大会において研究報告を実施する予定である。
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