研究課題/領域番号 |
23402047
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
吉野 耕作 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (50192810)
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キーワード | 社会学 / グローバル化 / 高等教育 / 英語 / マレーシア |
研究概要 |
本研究は、英語化の過程の半周辺に位置づけられるマレーシアの文化的仲介者が創造した制度の国際的伝播およびそれに伴って生じるナショナル社会、グローバル社会の権力構造を考察するものである。平成23年度は、4つの課題を中心に調査、分析を進めた。 第1に、英語化をめぐる権力構造の理論構築を行うために、グローバル資本主義、世界システム論、グローバル言語、ナショナリズムに関する文献調査を徹底的に行った。それを基に仮説を構築するに際して、イギリスをベースとする社会学者、政治学者、言語学者と議論を行い、批判的フィードバックを受けた。 第2に、英語化の中心諸国における高等教育のマレーシア・モデルの模倣の考察を行った。マレーシアの民間の高等教育機関と積極的に関係を推進しているイースト・ロンドン大学等において海外戦略に関する聞き取りを行った。 第3に、英語化の周辺諸国における高等教育のマレーシア・モデルの伝播・技術移転の考察を行うために、マレーシアの民間の高等教育機関の海外市場担当者を対象に具体的な活動内容や問題点に関して聞き取りを行った。 第4に、英語化市場における文化的仲介者と接合的制度の考察を行った。具体的には、アジアや中近東諸国を訪問して活動するマレーシア人仲介者への聞き取りを通して、英語圏留学に結びつける制度に関して分析した。 以上の調査研究を通して、英語を媒介とした高等教育のマレーシア・モデルの国際伝播が英語化をめぐるグローバル社会の中心・半周辺・中心の権力関係を固定化させたり流動化させる諸様相を理解する上で貴重な発見と示唆を得ることができた。研究成果は、口頭発表2件で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
調査対象側の状況の変化のために、インドネシア調査を先送りする必要が生じたが、代替の調査でカバーすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、計画通りに遂行する予定である。しかし、アジアにおける高等教育産業の最前線を扱っているため、調査対象の状況が急変することはありえる。本研究では、むしろそうした状況の展開の背景を含めて考察の対象とする。
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