研究課題/領域番号 |
23402047
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
吉野 耕作 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (50192810)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 社会学 / グローバル化 / ナショナリズム / 高等教育 / 英語 / マレーシア |
研究概要 |
本研究は、英語化の過程の半周辺に位置づけられるマレーシアにおいて創造された民間の高等教育モデルの国際的伝播、およびそれに伴って生じるナショナル社会およびグローバル社会の権力構造を考察するものである。平成24年度は、4つの課題を中心に調査、分析を進めた。 第1に、英語化の周辺諸国における高等教育のマレーシア・モデルの伝播の考察を行った。前年度からの継続である。具体的には、マレーシアの主な民間の高等教育機関の経営陣および海外担当者を対象に技術移転に関する聞き取りを行った。加えて、中国蘇州にある国際学院におけるマレーシア・モデルの伝播に関して首脳陣に聞き取りをクアラルンプールで行った。 第2に、英語化市場における文化的仲介者と接合的制度の考察を行った。第3に、英語圏の半周辺に位置するマルタにおいて、日本を含めた多くの国・地域から留学生を集めている英語教育産業の調査を行った。同じく英語圏の半周辺に位置するマレーシアなどの事例と比較検討する上で有意義な情報と知見を得た。 第4に、英語化をめぐる権力構造の理論構築を行うために、ナショナリズム、グローバル資本主義、世界システム論、グローバル英語等に関する資料収集、現地視察および研究者との意見交換、打ち合わせを行った。 平成24年度は、研究成果を公表する上で、単著の執筆に専念した。そのため、年度中の研究発表(雑誌論文、学会発表)は行わなかった。単著は1年以内に刊行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
英語化における半周辺の再生産と権力構造に関する理論構築を行う上でベースになる経験的調査を順調に進めている。 具体的な調査方法、調査地・時期等の変更はあるが、全体の研究目的の達成に問題はない。たとえば、調査対象側の状況の変化のために、中国調査を取りやめたが、調査対象者のマレーシア訪問時に聞き取りを行うことができた。イギリス調査を先送りする必要が生じたが、代替の調査をマレーシアで行い補完することができた。同様に、インドネシアで行う予定の調査をマレーシアで行い、カバーすることができた。 研究成果の発表に関しては、平成24年度は、単著の執筆を進めることに重きを置いた。そのため、年度中の研究発表(雑誌論文、学会発表)は行わなかった。単著は1年以内に刊行予定である。
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今後の研究の推進方策 |
基本的には、計画通り遂行する予定である。しかし、アジアにおける高等教育戦略の最前線を扱っているため、調査対象の状況が急変することがあり得る。本研究では、むしろそうした状況の展開自体を考察の対象として扱っている。
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