マレーシアで創造されたトランスナショナルな高等教育モデルは、英語化の進展の仕方やそこに内包する権力構造を象徴的に示す現象である。英語化の過程の半周辺に位置づけられるマレーシアの文化的仲介者が創造した制度は、周辺(ベトナム、インドネシア等)さらには中心(英国等の西洋英語圏)においても模倣され、拡大再生産された。英語化のプロセスを説明する上で、周辺(多くは途上国)と中心の接合は分析の要であり、その鍵となるのが、半周辺が編み出した仲介的制度である。本研究では、同制度の伝播およびそれに伴って生じるナショナルおよびグローバルな社会的文脈における権力構造を考察した。
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