都市空間の変化は,どのような過程を経てコントロールされているのか。それは日本とアメリカでどのように異なるのか。これが本研究を主導する問いである。具体的には,景観をめぐる2つの保存運動の事例(北海道小樽市の「小樽運河保存運動」とアメリカミズーリ州セントルイス市の「旧郵便局舎・センチュリービル保存運動」)を取り上げた。建物が常に更新され,新たな開発が起こり,人びとの移動が起こる都市は,一体,いかなる形で社会的にコントロールされてきたのか,その制御過程を社会学的に分析した。行政が買い取って保存をする日本と異なる,セントルイスの事例では市場メカニズムによる制御の利点と困難が明らかとなった。
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