平成25年度は、以下に焦点をあててデータ収集を行った。①日米国際結婚の子どもで成人期にいる対象者は、どのような心理的プロセスで国籍選択を行っているか、②①に母親のアメリカ文化への同一視・地域社会での位置取り・就業形態がどのように関わっているか、③特に、夫婦関係の質が下降・離婚に至ったケースについて、その後の子育てはどのように行われ、結果として子どもの国籍選択はどのようになったか。 <平成25年度の調査の内容> アメリカにて地域密着型のカウンセリング教育及び家族カウンセリング心理学で実績をもつ大学院等から紹介を受けた、日米国際結婚(離婚者も含む)日本人妻13名と、成人期に達した日米国際児に対して、一回約2時間のインタビューを一人あたり2回以上実施した。許可が取れた場合は、対象者の社会的コミュニティ(学校、教会、日本語サークルなど)での参与観察を行った。 <平成25年度の調査の意義と重要性> ①については、対象者たちは実利性を重視した選択を行っていた。実利性を重視した国籍選択と、文化的アイデンティティの間の間に差があるケースも見られた。②については、日米国際児の文化的アイデンティティには両親特に、日本人母親による水路付けがなされていた。水路付けの質を決めるものが、日本人母親の「アメリカ文化への同一視」と「日米両社会での位置取り」、「アメリカ人夫の日本文化への同一視」であった。さらに、日本人母親の「アメリカ文化への同一視」を規定する要因として、彼女らが育った「家庭での外国志向の文化実践」と「地域社会の文化的多様性」があげられた。③については、独占的親権を日本人母親が取得した場合は、子どもは日本国籍を選択していたが、共同親権の場合はそうではなかった。
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