国境を越えた人の往来が盛んになった現在、重国籍容認の世界的な流れを受け、日本でも国籍選択制廃止に向けて参議院に請願が提出されている。本研究は、在米の夫アメリカ人・妻日本人国際結婚夫婦の日本人妻と、その子どもで青年期以降の国際児に対して、面接調査を行い、国際児の文化的アイデンティティの形成に関わる家族心理学的・生涯発達心理学的要因と、その国籍選択への関わりを調査した。現段階までの分析結果として家族システムの要因が析出されているが、国際児の文化的アイデンティティの直接的に関与していたのは、日本人妻の生涯発達における日本志向性と在米日本人コミュニティにおける位置取りであった。
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