本研究は、アジア(インドネシア)在住およびヨーロッパ(ドイツ)在住の学齢期以降の日系国際児(両親の一方が日本人、他方が外国人の子ども)の日本文化・日本語の継承、現地文化・現地語の習得、文化的アイデンティティ、国籍選択などに関して、生育環境(居住地の状況、家庭環境、学校環境など)を視野に入れた、継続的なフィールドワークによる詳細なデータ収集をおこない、両者を比較検討することによって、日系国際児への教育支援について明らかにすることを目的としている。本年度は、その4年目、最終年度である。 1. データをさらに充実させるためにデータ収集をおこなった。インドネシア(バリ州)では2回(8月~9月および2月~3月)、ドイツ(ノルトライン=ヴェストファーレン洲)では1回(10月~11月)の合計3回(各2週間から2週間半)のフィールドワークを実施した。日系国際児への半構造化面接に加え、日本語補習授業校の高校生クラスの見学や参与観察、教師や保護者からの聞き取りもおこない、多面的にデータを収集した。また、日本に移動した日系国際児の追跡調査をした。 2. 異文化間教育学会(6月)において、ケース・パネル型発表を企画し、研究成果の一部について発表した。また、International Association for Cross-Cultural Psychology(7月)のシンポジウムで研究成果の一部を発表した。さらに、一部の研究成果を論文としてまとめた。なお、国立Udayana大学(インドネシア)の特別招待講演(9月)において、これまでの研究成果の一部を含む講演をおこなった。 3.これまでに収集したデータを統合し、インドネシア在住およびドイツ在住の日系国際児のそれぞれについて分析するとともに、両者を比較検討し、総合的に考察し、研究成果をまとめた。
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