研究課題/領域番号 |
23402064
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
杉村 美紀 上智大学, 総合人間科学部・教育学科, 准教授 (60365674)
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研究分担者 |
近藤 孝弘 早稲田大学, 教育総合科学学術院, 教授 (40242234)
二井 紀美子 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (30549902)
杉本 和弘 東北大学, 高等教育開発推進センター, 准教授 (30397921)
園山 大祐 大阪大学, 大学院・人間科学研究科, 准教授 (80315308)
丸山 英樹 国立教育政策研究所, 国際研究・協力部, 主任研究官 (10353377)
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キーワード | 比較教育 / 人の国際移動 / 多文化社会 / 社会変容 / 比較教育方法論 / 移民 / 多文化教育 / 国際教育 |
研究概要 |
初年度は、基点国の海外調査(ドイツ(2012年3月)、フランス(11月)、ブラジル(9月)、オーストラリア(2012年3月)を行うとともに、トルコ(オランダ在住研究者)、ドイツ、中国、韓国、フランスそれぞれの国の海外研究協力者を日本へ招聘し、各国・地域の抱える多文化共生問題の実態と教育の課題を検討するとともに、日本の外国籍住民の集住地域における社会変容と外国籍の子どもたち(特に日系ブラジル人)の教育実態の共同調査を行った(2011年11月3~4日、7日)。また、あわせて、海外の多文化社会の実情と逆日本の社会の国際化を比較紹介する公開セミナー(2011年11月5,6日、於:上智大学)も開催し、日本の大学で学ぶ日系人ブラジル人、ペルー人学生ならびに一般の参加者とともに、多文化共生と教育の課題について議論した。 この一連の調査および研究分析で明らかになったことは、各国の状況により、多文化共生へのアプローチが異なり、そこで問題とされる「共生」や「社会的公正」といった概念そのもののとらえ方も異なることが明らかになったことである。移動してきた人々の母語や宗教の多様性に配慮した多文化共生のための教育を模索している社会もあれば、あえて多様性を重視しないことで、移動する人々を「区別」しない教育もある。こうした世界各地の事例は、今後、多文化社会としてのあり方を模索する日本の教育にとっても示唆深い。 同時に、従来の分析の中心であった国別の枠組みにとどまらず、越境する人々にとっては、居住する「都市」を起点にmigrationの移動を行っていることも明らかになり、国別のマクロのレベルにとどまらず、都市と都市の移動を結ぶミクロな分析枠組みを設けることの必要性が指摘された。こうした人の移動は、当該地域の政治的経済的状況のほか、歴史的背景や宗教・言語的要因とも関係していることが指摘された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画であった海外での現地調査ならびに海外の研究協力者の招聘と日本国内での共同調査、セミナーの開催を実施することができ、本研究の分析枠組みである人の国際移動の現代的特徴と研究課題を明確にすることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、移動する人々の実態を国レベルだけではなく、地域や都市に生活する人々というミクロな視点からとらえ直す分析を試みる。具体的には、migrationの基点となっている社会の特性と、そこから移動する人々、あるいはそこに移入する移動要因を、政治的・経済的要因に起因する政策レベルにとどまらず、言語や宗教の共通性や、歴史的背景、地理的要因、エスニック・グループの繋がりといった社会的文化的要因にも着目し、国際移動の要因を多様な角度から明らかにする。またあわせて、移動に関する事例を相互に比較し、比較教育研究の方法論として、比較のモデルを提案することを試みる。
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