研究課題/領域番号 |
23403002
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
垣本 史雄 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (00092544)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 宇宙線 / 空気シャワー / 宇宙線起源 / 質量組成 / 縦方向発達 / 空気チェレンコフ光 |
研究実績の概要 |
本年度は,研究代表者である垣本のほかに,研究協力者である常定芳基(東工大助教),勝谷龍一(東工大D2),中山慧介(東工大M1)を観測場所であるボリビアに派遣し,観測装置の再配置,および観測データの蓄積を行った.本研究では,空気シャワーに伴って放射される空気チェレンコフ光の到着時間分布波形観測を行っているが,空気シャワーの規模に応じて最適な観測位置が異なってくる.このため,観測装置を再配置することにより,より高エネルギー宇宙線に対して,より高品質なデータが得られるようにした.観測自体は,月のない晴天夜に実施するため,現地が乾期になる前の4月中に再配置をすませ,観測自体は5月から10月まで実施した.これにより,1昨年度からの観測総時間は約700時間となり,ほぼ計画通りに進んでいる.さらに,最終結果を得るためには,観測結果と比較すべきシミュレーション計算による空気シャワーイベントを種々の条件で生成しておく必要がある.これには,膨大な計算時間を要し,非現実的ある.そこで,一部計算を簡略化することにより,観測データと比較する上では計算精度を損ねることなく,効率よく計算できるように工夫をした.現在,所有の計算機アレイを用いてシミュレーテッド空気シャワーイベントの蓄積に努めている.以上の途中結果については,秋と春に開催された日本物理学会にて口頭発表した.また,観測装置の開発および性能に関する成果を学術論文誌(Nuclear Instruments and Methods)に掲載した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の観測は,観測場所であるボリビアが乾期となる5月から10月まで実施することができた.これに先立ち,観測装置の設置位置を移動し,より効率よく観測データが得られるように改善した.以上により,当初の予定通り観測データの蓄積が達成できた.一方,観測データと比較すべきシミュレーション計算を実施し,計算時間の軽減のための工夫(thining, dethining法)することにより効率よく計算データの蓄積を行うことができた.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は最終年度であり,本観測を継続することにより観測データを蓄積することに最大限努力する.一方,シミュレーション計算も継続し,観測データと比較するために必要な量の計算データベースの構築に努める.観測は10月に終了し,その後,最終結果のとりまとめを行う.12月には,研究協力者を招集し本結果内容を検討精査し,最終結果を公表する.
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