研究実績の概要 |
本年度は,研究協力者である常定芳基(助教),勝谷龍一(D3),中山慧介(M2)を観測場所である南米ボリビア・チャカルタヤ山宇宙物理学研究所に派遣し,空気シャワーに同期した空気チェレンコフ光到着時間波形観測データの蓄積に専念した.観測は,現地が乾期となる5月から10月末までの月の無い晴天夜に行い,昨年度までの観測時間数700時間に対して,本年度は450時間を達成した.また,無線LAN環境を整備し,無人での観測が可能となった.観測データは直ちに日本に移送し,解析を行った.さらに,同期した空気シャワーデータ解析プログラムの解析精度の向上を行った.これにより,特に,宇宙線到来方向決定精度が向上した.また,観測した波形データから得られる一次宇宙線質量組成解析結果と比較すべきシミュレーション計算結果の蓄積も行った.このシミュレーション計算には,膨大な計算時間を要するため,実際には適切な近似措置を講じる必要がある.従って,計算実施前に,適切な近似の最適化の検討を行った.以上の途中結果については,春に開催された日本物理学会にて口頭発表した.
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