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2011 年度 実績報告書

新原生代の気候激変と動物進化を関連付けるDOXAM仮説の検証

研究課題

研究課題/領域番号 23403014
研究種目

基盤研究(B)

応募区分海外学術
研究分野 地質学
研究機関九州大学

研究代表者

狩野 彰宏  九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 教授 (60231263)

研究分担者 長谷川 卓  金沢大学, 自然システム学系, 教授 (50272943)
高島 千鶴  佐賀大学, 文化教育学部, 講師 (10568348)
キーワード動物進化 / 全球凍結 / 安定同位体 / 微量元素 / 古気候
研究概要

新原生代後期(7.3~5.4億年前)は地球環境の激変期であり,多細胞動物が進化した生物圏革新期でもある。極度の寒冷化が繰り返し起こっていたこの時代に動物が多様化したことは,地球生命史最大の謎の1つである。研究代表者らはこの謎に対する解答として,後氷期の層状化海洋での懸濁有機物の増加により多細胞動物が進化したとする「DOXAM仮説」を提案した。本研究の目的は,ブラジルおよび中国に分布する堆積岩の有機・無機炭素安定同位体比とバイオマーカーの分析結果から,独自の仮説を検証することにある。
今年度はブラジル国バーイア州(9月)と中国湖南省(4月)・江蘇省(3月)で新原生代の地層を対象にした野外調査と試料採集を行なった。
ブラジルでは,微生物もしくは海綿動物が作ったと思われる礁構造が露出するユッサラ周辺の2カ所の露頭を詳細に検討した。持ち帰った試料の薄片を作成したところ,1カ所で採集した試料から明らかな生物骨格化石を見いだした。これは世界最古有殻動物の1つであると考えられる。これらの地層は750Maのスターチアン氷期以降に堆積したものであり,動物進化がこの時代に進行していたことを示す証拠となりうる。
また,中国で採集した試料の解析も進めている。湖南省のエディアカラ紀前期の地層(Dousshanto層)からは,有殻生物の化石を見いだした。また,酸素・炭素・ストロンチウムの同位体比の測定も進めており,層序対比や環境変動についての議論を進めている。なお,岩相層序と環境変動に関する成果の一部は国際誌に掲載された(Kunimitsu et al.,2011)。
その他,本研究の動機であるDOXAM仮説を解説した論文も出版した(Kano et al.,2011)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

ブラジルおよび中国において,期待以上の有望な試料を採集できたため。

今後の研究の推進方策

今後は大量の試料分析と観察のために,研究体制を増強する必要がある。そこで,来年度は作業を担当するための学術研究員を雇用する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Ediacaran paleoceanography from lithological and geochemical studies in northwestern Hunan Province, China2011

    • 著者名/発表者名
      Kunimitsu, Y., Setsuda, Y., Furuyama, S., Weng, W., Kano, A.
    • 雑誌名

      Precambrian Research

      巻: 191 ページ: 194-208

    • DOI

      10.1016/j.precamres.2011.09.006

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The evolution of animal multicellularity stimulated by dissolved organic carbon in early Ediacaran ocean : DOXAM hypothesis2011

    • 著者名/発表者名
      Kano, A., Kunimitsu, Y., Takashima, C., Shiraishi, F., Wang, W.
    • 雑誌名

      Island Arc

      巻: 20 ページ: 280-293

    • DOI

      10.1111/j.1440-1738.2011.00767.x

    • 査読あり
  • [学会発表] 中国湖南省エディアカラ系Doushantuo層から産出したVase-shaped microfossils2011

    • 著者名/発表者名
      古山精史朗・國光陽子・王偉・狩野彰宏
    • 学会等名
      日本古生物学会
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      2011-07-03
  • [学会発表] 全球凍結による海綿動物と有殻微生物の進化2011

    • 著者名/発表者名
      狩野彰宏・古山精史朗・國光陽子・王偉
    • 学会等名
      日本古生物学会
    • 発表場所
      金沢大学
    • 年月日
      2011-07-03
  • [学会発表] 湖南省北西部に分布するエディアカラ系堆積岩の化学層序的考察2011

    • 著者名/発表者名
      古山精史朗・狩野彰宏・國光陽子
    • 学会等名
      地球惑星科学関連合同学会
    • 発表場所
      幕張メッセ
    • 年月日
      2011-05-23
  • [学会発表] 全球凍結による動物多細胞化の誘発2011

    • 著者名/発表者名
      狩野彰宏
    • 学会等名
      地球惑星科学関連合同学会
    • 発表場所
      幕張メッセ(招待講演)
    • 年月日
      2011-05-23

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公開日: 2013-06-26  

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