研究課題/領域番号 |
23403014
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
狩野 彰宏 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (60231263)
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研究分担者 |
高島 千鶴 佐賀大学, 文化教育学部, 准教授 (10568348)
長谷川 卓 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (50272943)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 動物進化 / 新原生代 / 全球凍結 / 安定同位体 / 炭素循環 |
研究実績の概要 |
新原生代後期(7.3~5.4億年前)は全球凍結を含む数回の寒冷期とその間の温暖期に特長付けられる気候激変期であり,多細胞動物が進化した生物圏革新期でもある。極度の寒冷化が繰り返し起こっていたこの時代に動物が多様化したことは,地球生命史最大の謎の1つである。私たちはこの謎に対する解答として,後氷期の層状化海洋での懸濁有機物の増加により多細胞動物が進化したとする「DOXAM仮説」を提案した。 今年度はこの仮説を検証するために,スペイン北西部においてマリノアン氷期 (635 Ma) 以降に堆積した炭酸塩ー珪質堆積物の地質調査を行った。採集したサンプルから薄片と粉末試料を作成し,顕微鏡観察と酸素・炭素同位体の測定を九州大学で,Sr同位体比を高知コアセンターで行った。その結果,堆積物の変成度がやや高いものの,中国やオーストラリで報告されてきた同位体変動に類似したパターンを得る事ができた。 また,昨年度までに中国で採集した炭酸塩岩試料についての解析も進めた。湖南省北部のセクションでは約580Maのガスキエス氷期に堆積した炭酸塩岩中に,有機物もしくはメタン酸化に関連して生成した続成作用の成分(セメント)が確認された。この炭酸塩岩は全岩成分で炭素同位体比の負のアノマリーを示す層準に当たる。セメントの炭素同位体比は-32‰にも達しており,負のアノマリーはこの付加により十分説明できる。おそらく,有機物酸化はガスキエス氷期に関連した大陸からの硫酸フラックスによるものであると結論付けられる。この結果により,「DOXAM仮説」における炭素循環のモデルに堆積物中での硫酸還元を考慮することにした。そこで,アイディアを解説するために論文を執筆し,年度末に受理された。 さらに,今後の研究を進めるために,中国科学院南京古生物学研究所の王偉教授と打合せを行った。
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現在までの達成度 (段落) |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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