研究課題
インド亜大陸デカン高原中央部の天体衝突クレーター(ロナクレーター)の地質調査によって,衝突クレーターの緩和・浸食過程、水循環の解明,およびインド亜大陸の過去数万年~数十万年の古気候・古環境の高解像度復元を行う.惑星科学,地質学,古環境学などの各分野の専門家が密接に連携し,①現在進行中、あるいは今度の火星探査において,クレーター湖の形成メカニズムや表層水循環過程の理解のための比較地質的研究,および②インド亜大陸全体での気候変化、インドモンスーンの汎大陸的影響の解明,という,惑星地質学・古環境学の両面で重要な課題に取り組む.最終年度には、インド国立地球物理研究所の研究員らと共に行った、ロナクレーターの調査結果の解析、および採取試料の宇宙線照射核種分析を継続して行なった。調査により、クレーターに注ぎ込む水を供給している地下の帯水層の存在を示唆する地質データを取得し、それを地形学的に解析することで、乾季と雨季での水の供給メカニズムを明らかにした。また、その知見を元に、火星上の湖底堆積物や水による浸食をうけたクレーターの地質学的解釈を行ない、太古の火星における水供給・循環プロセスを議論した。また、表面に露出したイジェクタ層やクレーターリムから表面照射年代測定を行うことができる石英サンプルをもちかえり、加速器を用いた質量分析を進めた。その結果、クレーターリムに比べて、イジェクタ層の方が古い表面照射年代を示した。このことは、イジェクタは非常に速く侵食されるという従来の説と相反する結果であり、物質的な証拠からクレーター形成後の侵食過程の時間スケールやそれらが起きる時期について新たな知見を得られた。さらに、推定されるクレーター風化速度は、これまで提唱されていたものに比べて非常に早いことがわかり、過去の火星において現代の地球ほど温暖湿潤な期間は非常に短いか存在しなかったことが示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件)
Planetary and Space Science
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.pss.2013.05.011
Shock Compression of Condensed Matter; 2013, AIP Conf. Proc.
Transactions of Japan Society for Aeronautical and Space Science
Nature Geoscience
巻: 7 ページ: 1-4
10.1038/NGEO2095
Origin Evol. Life Biosph.
巻: 43 ページ: 221-245
10.1007/s11084-013-9339-0
Earth Planets Sp.
巻: 65 ページ: 811-822
10.5047/eps.2012.12.010
Earth and Planetary Science Letters
巻: 376 ページ: 145-154
10.1016/j.epsl.2013.06.018
遊星人
巻: 22 ページ: 234-241