研究課題
マダガスカル南部に分布する超高温変成帯中に認められる炭酸塩岩は、先行研究から石灰岩質堆積岩が超高温変成作用を蒙り形成された大理石(マーブル)と考えられてきた。これら"炭酸塩岩"の岩石学的・地球化学的評価と生成プロセスを明らかにするため、H23年度に精細な野外調査を4週間行い、その分布範囲を明らかにした。岩石試料を採集し、全岩化学組成の測定を行った。さらに、炭素の起源を解明するため炭酸塩鉱物の炭素安定同位体分析を行った。これらのデータから、超高温変成帯中に認められる炭酸塩岩には、堆積岩起源マーブルと、火成岩起源炭酸塩岩の両者が分布することが明らかになった。後者は、マントル起源カーボナタイトマグマに特徴的な炭素安定同位体をもち、超塩基性岩、黒雲母岩、燐灰石鉱床と密接に付随して分布することが明らかになった。また黒雲母K-Ar法による放射年代測定を行い、約490Maの年代値を得た。これら炭酸塩岩は幅数km、延長数百kmに及ぶ剪断帯に沿って産出しており、後期原生代に起こった東西ゴンドワナ大陸の衝突後マントル起源カーボナタイトマグマが剪断帯に沿って広範囲で活動したことが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
マダガスカル南部における地質野外調査は、天候に恵まれ当初の計画とおり行うことができ、広範囲の地域においてカーボナタイトの分布が確認できた。採集した岩石試料の化学分析および同位体分析を計画に沿って行い多くのデータが得られた。今年度の調査および分析により、本研究の目的である「マダガスカル南部超高温変成帯中に認められる炭酸塩岩がマントル起源マグマにより形成されたカーボナタイトであるとの仮説」がほぼ検証された。
平成24年度には、マダガスカル南部における地質野外調査を行い、カーボナタイトと付随する超塩基性岩、雲母岩の分布域をさらに精細に明らかにする。これら岩石類の鉱物学的、地球化学的特徴を分析し、起源マグマの岩石学的および地質年代学的解析を進める。さらにこれら岩石類の希土類元素やニオブなどレアメタル鉱床としての潜在性を評価しする。研究成果を国内外の学会で発表し、学術論文にまとめる。
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