研究課題
マダガスカル南部に分布する超高温変成帯中に認められる炭酸塩岩は、石灰岩質堆積岩が超高温変成作用を蒙り形成された大理石あるいは石灰石起源スカルンと従来考えられてきた。しかし、平成21年度に行った予察的野外調査から、その一部が貫入岩として定置していることが認められ、炭酸塩岩の一部はマグマ起源カーボナタイトとの仮説を得た。これらカーボナタイトの岩石学的・地球化学的評価と生成プロセスを明らかにするため、平成22年度および23年度に精細な野外調査をそれぞれ約4週間行い、その分布範囲を明らかにし岩石試料の採集を行った。岩石試料の全岩化学組成の測定と、炭素の起源を解明するため炭酸塩鉱物の炭素安定同位体分析とSrおよびNd同位体組成分析を行った。その結果、超高温変成帯中に火成岩起源カーボナタイトが広範囲に分布することが明らかになった。これらカーボナタイトは、顕正代のリフト地域に分布するマントル起源カーボナタイトに特徴的な炭素安定同位体をもち、超塩基性岩、黒雲母岩、燐灰石鉱床と密接に付随して分布する。黒雲母のK-Ar法による放射年代測定を行い、約490~460Maの年代値を得た。カーボナタイトは幅数km、延長数百kmに及ぶ剪断帯に沿って産出しており、後期原生代に起こった東西ゴンドワナ大陸の衝突後、剪断帯に沿ってマントル起源カーボナタイトマグマが広範囲で活動したことが明らかになった。カーボナタイトと付随するキ岩の炭素および酸素安定同位体組成は、マントル同位体組成からのマグマ分別プロセスを示している。さらに、カーボナタイトマグマが極度にエンリッチしたマントル起源であることがSrおよびNd同位体比から示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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