研究課題/領域番号 |
23404002
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研究機関 | 公立大学法人北九州市立大学 |
研究代表者 |
門上 希和夫 公立大学法人北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (60433398)
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研究分担者 |
柳 哲雄 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (70036490)
高尾 雄二 長崎大学, 生産科学研究科, 教授 (20206709)
安井 英斉 公立大学法人北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (70515329)
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キーワード | 微量有害物質 / 中国大陸 / 長江 / 越境移動 / 東シナ海 / 日本海 / シミュレーション / 生物分解モデル |
研究概要 |
海外共同研究者である大連理工大学の陳景文教授と調査の内容・実施について打ち合わせを行い,共同研究協定を締結した。また,調査に必要な備品や消耗品の内,大連理工大で所有および入手可能なものを明らかにし,それ以外の物品を日本から大連へ輸送することとした。 科研費採択が平成23年12月と年度末まで4ヶ月しかなかったため,文献などを基に分析法を作り上げ,備品や試薬などの消耗品を大連に輸送し,平成24年3月に大連の環境水や排水をモデル試料として採水から機器分析までを試行した。試料の採取および分析前処理は,特に問題無く実施できたが,日本への処理試料の輸送の手続きに時間を要している。輸送の問題が解決すれば,長江での調査を実施することができる。 対馬沖において大陸から長距離移動してくると思われる極微量の人工化学物質を濃縮捕集するための可搬型大容量海水抽出装置を自作した。本機はガラス円筒内部に直径8cm,厚さ4.5mmのウレタンフォームを2個装着し,バッテリー駆動により毎分5L/minの海水を通水し,20分で100Lの海水中の化学物質を濃縮捕集することができる。 水系に存在している微量化学物質の生物分解モデルを構築する予備検討として、貧栄養細菌の有機物分解やプランクトンの増殖に関する反応プロセスの整理を行った。この結果、単一種の微生物による反応(連続的な反応や馴化・誘導による一時的な変化)のみならず、複数の微生物群による相互作用のモデルについても数学的に表現できる目処を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年12月の採択であったことを考えると,海外共同研究者との共同研究協定の締結,物品の輸送,大連での共同でのサンプリングと分析前処理の実施,GC-MSによる最終試料液の測定などがほぼ終了しており,順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
大連市内及び周辺の河川や海域で採取した環境水,下水処理場放流水をモデル試料水として,長江調査に用いる4分析法を確立する。その後,長江河口で河川水を採取し,確立した手法を用いて約1300物質を測定し,検出物質と検出濃度を明らかにする。次に,検出濃度と河川流量から長江経由で東シナ海に排出される化学物質量を物質毎に求める。排出量の多い物質を対象に,河川流量,排出量,分解性及び海流等のデータ,並びに対馬沖の海水実測値を基にシミュレーションを行い,東シナ海での濃度分布及び日本近海到達濃度を試算する。 東シナ海の水質は比較的に清浄で貧栄養である。中国大陸から日本近海まで海流によって化学物質が移動する間にどの様に生物分解を受けるかを推定するための貧栄養生物分解モデルを検討開発する。
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