研究課題/領域番号 |
23404004
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
松原 幸治 新潟大学, 自然科学系, 教授 (20283004)
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研究分担者 |
櫻井 篤 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20529614)
小浦方 格 新潟大学, 産学地域連携推進機構, 准教授 (30401772)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | アジア / 再生可能エネルギー / EFガスタービン |
研究概要 |
平成24年度は、SolarPACES2012(モロッコ、マラケシュ)への参加、TERI(インド、デリー)での研究打合せ、ならびに、バイオガスタービン実験準備を行った。 平成24年9月11日~14日に開催されたSolarPACESにおいて、自然エネルギー利用に関する研究発表を聴講し、外燃式EFガスタービン(高温空気タービン)等の研究資料を取得した。この国際会議は太陽熱利用に関するものであるが、EFガスタービンを利用した太陽熱発電システムの研究例が多数発表されおり、今回実験するEFガスタービンの応用先としてバイオマスだけでなく、太陽熱も有望であることが確認できた。 引き続き、インドへ移動し、TERI(The Energy Resource Institute)において研究打合せを行った。同研究所は、IHC(Indian Habitat Center)に本部を置き、デリー郊外グルガオンに実験場を保有するエネルギー研究所である。9月18日には、TERI実験場において、木質バイオマスからの液体バイオ燃料抽出実験設備、ディーゼルエンジンを改造したバイオマス発電実験設備を見学した。日本を出国する際は、このTERI実験場のみ見学する予定であったが、SolarPACESにおいて、TERI実験場の隣のSEC(Solar Energy Center)に立ち寄ることが有効であるとの情報を得ていたため、SECに移動し、ディッシュ型ミラーによるスターリングエンジン発電実験設備、太陽熱バイオマス複合発電・冷房実験設備を見学した。 9月19日には、TERI本部において、Dr. Gaurav Mishra, Director Amit Kumar, Dr. P Ranan, Mr. Sunil Shingraと打合せを行った。バイオタービン発電の原理について解説し、実証試験に向けて交渉を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の南インド調査に引き続き、平成25年度は北インド・デリーのTERIを訪問出来た。これにより、インド調査研究において、北部と南部に連携機関を持つことができたことは収穫であった。加えて、日本での小型バイオガスタービンの構築および予備試験に成功し、同形式の発電システムのインド諸地域への導入の整合性を研究するための準備が順調に進展している。 平成24年度の特筆すべき成果としては、TERIとの連携関係を構築できたことである。同組織は、自然エネルギーの試験装置の開発に実績があり、デリー近郊に広大な実験場を保有し、かつ、農村地域への自然エネルギー設備を多く導入している。このような研究組織と意見交換し、自然エネルギー利用ガスタービンの開発の意義について、基本合意できたことは、今後の研究を展開する上で収穫であった。同組織においては、自然エネルギーの複数の研究者と議論でき、同組織ディレクター・Amit Kumar博士とも面談できたことは、今後の研究の足掛かりとして重要な一歩である。同組織でのバイオマス発電は、ディーゼルエンジン等の往復動式エンジンを改良したものであり、研究代表者の提案するタービン式に興味を持って頂いたことも成果であった。 もう一つの重要な成果は、小型バイオガスタービンの予備試験において、約600Wまでの発電ができたことである。これによって、実証検討に向けての準備が固まったと言える。 以上のように、研究は着実に進んでおり、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、バイオマスガスタービン発電機の実証に向けて、さらに研究を推進する。輸出業者に依頼して同タービン発電機の輸送の見積もりをとり、大学事務局で輸出審査を受ける手続きをして頂く予定である。TERI研究担当者のDr. Paltu Acharjeeと連絡をとって、実験場を確認する。現時点では、TERIの実験場において9月に実証試験する予定であり、準備を進める予定であるが、状況によっては、10月以降に遅らせることも有りうる。またガスタービンの輸出が円滑にできない場合は、燃焼器のみ輸出して試験する等の代替実験の可能性を考えている。 一方、日本において今回の試験装置の特性を分析することも必要であり、専用ソフトウェアを導入して検討する予定である。バイオマスガスタービンの基本特性や、外燃化した場合の特性、さらに、二次燃料を導入した場合の特性を検討して、実験を行う際の参考データとする。 さらに、前年度までに行った日本での予備試験は、灯油を用いた実験が主体であったため、バイオディーゼル燃料(BDF)を利用した予備試験も行っておく予定である。このため、BDFを入手し、実験装置を輸出する前にデータをとっておきたい。さらに、今後のより大規模な実験に向けて、現在の小型発電機(600W級)に変えて、より大型の発電機を導入する検討も行う予定である。 以上のように本研究は、日本での準備と、外国研究者との打合せ、外国での調査を含むものであり、連携研究者とも協力して、研究を進捗する。
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