研究概要 |
[基本資料収集と現地調査立案] 日本国内においてカトマンズ盆地に関する地質学・地震学的既往資料を収集した.強震観測点の設置に関しては,盆地の3次元構造の影響がより現れる観測点の選定に努め,現地研究協力者により,観測点設置のネゴシエーションを行った.観測点はKTP(キルティプル区役所),TVU(トリブバン大学理学部地質学部),PTN(トリブバン大学工学部),THM(ネパール大学基金事務所)の4点で,順番に岩盤観測点から盆地内へ東西への測線上である. [強震観測点の設営] 観測地点の選定が終了した時点で国内研究協力者と共に現地入りし,現地研究協力者との連携のもと観測を開始した.観測には,加速度強震計:ミツトヨJEP-6A3-2,データロガー:白山工業DATAMARK LS-7000XTを用い,停電の多発および電圧安定性の低い現地の状況からバッテリー及び高電圧遮断装置を用いている.全ての強震計は建物の1階に設置されており,コンクリート床にアンカーボルトで固定した.尚,インターネットを介して記録を回収できるシステムを予定していたが,現地の電源・通信状況が非常に悪く,現地協力者による回収とした. [強震観測点近傍の浅部地下構造探査の実施] 設置した強震観測点周辺地域での表面波探査法による浅部地下構造探査を実施し,基盤露頭と考えられるKTP観測点で表層のS波速度が300m/s~400m/sという高い値が推定された. [観測点微動レベル] 現時点では全観測点で連続観測としており,今後ノイズレベルを吟味した上でトリガー観測に変更することもあり得る.観測開始直後の平穏な微動区間を選択して検討したところ,微動振幅はTVUが最も高くKTPが他と比較して非常に低いことが把握できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際の現地での電源状況等を事前に把握し,無停電電源装置を準備してたことが功を奏し,無事に観測点の設置を完了することが出来た.一方で,機材搬入等には多くの労力を要することが判明し,次年度からの更なる準備の必要性を把握できた.
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今後の研究の推進方策 |
盆地構造に関しては重力探査結果を既往文献として入手しているが,すでに実施した浅部地盤構造探査の結果と併せ,強震動評価に利用出来る地下構造モデルを構築するために,長周期微動観測を用いた深部地盤構造の推定を実施する.浅部-深部地盤構造を構築し,強震観測結果を検討する.研究遂行上の問題点としては,機材搬入が最も大きいが,前年度の経験を踏まえ,入念な準備の元に実施を考えている.
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