研究概要 |
1) 薬用資源調査(天然物探索材料としての植物現地調査):平成26年3月18日から3月23日,研究代表者・石橋は,バングラデシュ国を訪問し,クルナ(Khulna)大学薬学部S. K. Sadhu教授およびダッカ(Dhaka)大学薬学部Firoj Ahmed教授の指導のもと,バングラデシュ西部のクルナ市およびシャトキラ地区を中心に,熱帯薬用植物資源調査を行った.とくにこれらの地域特有の植物種や現地で栽培される薬用植物を中心に幅広く調査・採取を行った.採取した薬用植物等は約40種に上ったが,一つの種当たり採取量は予備的スクリーニングに最低限必要な量にとどめた. 2) ライブラリー構築とスクリーニング:前年度までに行ってきた資源調査によって採取し,千葉大学側に空輸されてきた植物サンプルについて,有機溶媒による抽出を行い,抽出エキスライブラリーの構築を継続的に行った.得られた抽出エキスを用いて種々のシグナル伝達経路(ウィント, ヘッジホッグ,トレイルシグナル,bHLH転写因子等)に対する作用に関するスクリーニング試験を継続して行っている. 3) 活性成分探索:上記現地調査で入手したバングラデシュ産サンプルのうち,現地名「シャタバリ」として市販されている生薬サンプルの化学成分分析を行った結果,Stemonaアルカロイド類を単離した.現植物はAsparagus属と同定されていたが,本化学成分研究の結果,Stemona属植物であることが示唆され,国立医薬品食品衛生研究所との共同研究に基づく塩基配列解析の結果と一致した.一方,ウィントシグナル活性化作用に関するスクリーニングの結果,バングラデシュ産ミカン科植物Zanthoxylum rhetsaの抽出エキスは,ウィントシグナルの指標となるルフェラーゼ活性を約4倍上昇させた.本抽出エキスから活性成分を精製し,フラボノイド配糖体を単離した.
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