研究課題/領域番号 |
23404021
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
都市計画・建築計画
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西村 伸也 新潟大学, 自然科学系, 教授 (50180641)
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研究分担者 |
西出 和彦 東京大学, 工学系研究科, 教授 (80143379)
篠崎 正彦 東洋大学, 理工学部, 准教授 (10312175)
岡 徹雄 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40432091)
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キーワード | カン / 持続性 / 積雪寒冷地 / 中国東北部 / 集落形成 / 新潟 / 横長住宅 |
研究概要 |
本研究は、中国東北部(大連・瀋陽・ハルビン)の調査分析を新潟(荻の島・門出・半蔵金)の空間特性と比較して、農村住居が地域社会の中で経時的に獲得してきた集落の持続的な力を動的な平衡システムとして捉え、持続的な環境形成の仕組みを明らかにすることが目的である。 積雪寒冷という環境の中で、集落のかたち・住居の空間・生活行動の変容に着目する。本研究は、積雪寒冷地という特別な環境にあって、住空間の構造とその維持システムが、相互に関係を持ちながらコード化されている持続的な集落維持の仕組みを解明する。 伝統的な農村住居である横長住居が多数存在する大連近郊の農村集落を対象にして、積雪寒冷地の農村住居の空間構成、住まい方、集落構造の実態を調査した。調査は、日本から新潟大学・東京大学・東洋大学の教員5名と学生5名と中国からは大連理工大、清華大、北方工大の教員5名・学生6名の合計21名の調査チームを編成した。聞き取り調査・空間の記録調査・写真記録によって、住居の内部空間と庭・通路等の外部空間の特徴を捉えた。 今年度の調査では特に、住戸と住戸廻りに焦点をしぼって、伝統的暖房方式「カン」のある横長住居での住まい方を、親と子の占有する空間領域、就寝と接客の分離、履き替えの作法、床やテーブルの使われ方等を調査した。大連の農村住居は、若者め都市部への流入と都市からの電化が急速に進んでおり、それらを受けた「カン」の変容が住居の空間に及ぼすさまざまな変化とともに、以下の様に観察された。ラジエータ、ガス暖房と「カン」と混在によって「カン」の位置に変化が起こり、接客・食事・団らんの生活の場が「カン」上から他へと移行する住居が確認された。また、カマドでの炊事から新たに厨房を室として独立して作り、入り口の動線と厨房との分離が、住居の全体の空間構成を大きく変えつつあることが捉えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東日本大震災の影響が心配されたが、調査は23年6月下旬~7月初旬に21名の参加を得て無事実施された。そこで、近代化・高齢化を受けた住宅の変容を反映してカンが大きくその役割と機能を変えていることが捉えられている。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の調査は主に住戸と住戸廻りの調査に集中したが、集落構成の特徴や仕組みについてのデータも24年度の調査では得られるように、調査の方法をさらに改善していく。また、平成24年度は当初瀋陽地区の調査を計画していたが、瀋陽の大学教員との調査計画の調整に時間がかかることが分かり、瀋陽の調査を平成25年度に計画し、平成24年度はハルピン工業大学に鄒広天教授をカウンターパートにして、ハルピンの近郊の農村で調査を6月下旬~7月上旬にかけて行うことになった。この調査地の変更については、東京大学で新潟大学・東京大学・東洋大学の全参加教員が集まって検討を行い決定した。
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