研究課題/領域番号 |
23404023
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
趙 世晨 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 准教授 (80304848)
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キーワード | 日本租界 / 都市空間 / 3DCG / 都市形成 |
研究概要 |
本研究は、これまでの調査実績を踏まえながら、かつて中国に存在した5つの「日本租界」を対象に当時外務省の外交記録等の史料を解読した上で、租界設立同時の情報を把握し、現地の研究協力者と共同で市街地の構成、配置、建築物等を実測調査し、日本租界に関する空間情報のデータベースを作成する共に、3次元コンピュータグラフィックス(3DCG)による「日本租界」の再現を行うことによって、今後、日中両国における近代都市史を理論的に分析するための資料・情報を提供し、都市文化遺産としての「日本租界」の再評価を行うことを目的としている。具体的には、調査対象都市の共同研究協力者と相互に連携しながら、横断的に調査研究を実施する。3年の研究期間中に、それぞれ総合調査(初年度)⇒個別調査(第2年度)⇒総合調査(最終年度)を実施することになっている。 本年度は初年度であり、既存資料の整理収集、デジタル化にすると共に、研究協力者との情報及び意見交換を実施したことにより、研究協力者全員が歴史、社会、都市の変遷過程について共通の認識をもつことに至った。また、前年度の予備調査で把握した日本租界建物の残存状況を考慮して、本年度はまず天津市の日本租界に焦点を絞って、総合現地調査を実施した。現地調査では、租界設立時関連資料の収集、街区の構成、残存建物の実測調査及び日本租界全域街並みの写真撮影を行った。さらに、調査対象都市の調査結果に基づいて1)日本租界設立の歴史的背景のレビューとその都市変遷の体系化、2)3次元コンピュータグラフィックスによる日本租界の再現、3)文字情報・空間情報・画像情報を一体化したデータベースの作成、等の作業を行った。 現地調査及び文献収集等の初年度の研究計画を順調に実施したことにより、日本租界都市空間の原型の把握及び貴重な文献資料を入手することが出来て、今後2年間の研究遂行に大いに役に立った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度に予備調査及び現地調査の前に現地研究協力者との綿密な打ち合わせにより、本年度の研究計画を順調に展開できた最大の要因で、今後もこれまでの経験を活かして、研究計画を遂行したい。
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今後の研究の推進方策 |
私達はこれまで6年間にわたり、中国の都市調査・研究を行ってきた。中国では公的なデータや地図情報の整備は不十分であるが、現地の大学関係者や行政担当者の協力を得て、計画の通りに現地調査を行うことが出来たことから、今後の現地調査等は計画通りにスムーズに進めることが可能であると考えている。
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