研究課題/領域番号 |
23404024
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
保井 美樹 法政大学, 現代福祉学部, 准教授 (60345147)
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研究分担者 |
宮城 孝 法政大学, 現代福祉学部, 教授 (70276864)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / ドイツ / リバプール / マンチェスター / 人口減少 / 都市再生 / コミュニティ |
研究概要 |
2011年度の国内外での調査の中で、人口減少都市圏においては、経済的・社会的に厳しい状況にある地区の改善を図るためにも、その財源を生み出す”成長”をいかに作り出すかが大きな課題であることが明らかとなった。しかし、その成長の形や生み出す方法は明らかとは言えない。そこで2012年度は、引き続き、社会的・経済的に厳しい条件下にある郊外住宅地に着目すると共に、それを支える都市の成長の創出についても取り上げていくこととした。具体的には、以下のように進めた。 第一に、人口が減少する都市圏の中で、”傷つきやすい(vulnerable)"地区の考え方について、欧州の既往研究を分析し、日本においてどのような地区が当てはまるのか、大学院生・修了生と共に議論を深めた。並行して、多摩ニュータウン及び北九州市の、特に高齢化が進む地区を事例として、地域の状況や高齢化などの課題への対応について量的・質的な調査を進めた。そうした議論を地域の関係者と共有し、深めるために、2012年11月には、多摩市役所と共同で市民シンポジウムも開催した。 第二に、海外との連携においては、人口減少都市における持続可能な成長の創出について、多くの都市でまちづくり事業を支援するエリア・イノベーション・アライアンス代表理事の木下斉氏を研究協力者として迎え、国内との比較という視点から調査を行った。2013年3月には、イギリスとドイツの5都市を回り、それぞれの都市においてどのように再生を進めようとしているのか、関係者からヒアリングを行った。その結果、人口減少都市圏の抱える課題は共通しており、その再生に関するアプローチにも共通点が多いことが判明したため、今後は、こうした実務家の間の情報共有や協力の仕組みについても検討していくこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究においては、都市地域政策研究、福祉まちづくり研究の2つの視点から、国内外で調査を進める計画としており、2年目は、これらの項目について本格的に調査を行い、成果を出していくことを目的としていた。福祉まちづくり研究については、北九州市と東京・多摩ニュータウン地区での調査が進み、それぞれ学会等での発表が行われたほか、都市地域政策研究については、海外との連携調査が実現した他、海外ジャーナルへの掲載が決定している。こうした点から考えても、おおむね順調に推移していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2013年度は最終年度として、調査結果を取りまとめると共に、その成果を社会に発信することに重点を置いて展開していきたい。そのため、次のように研究を推進する。第一に、日本における人口減少都市圏の中の"傷つきやすい(vulnerable)”地区のあぶり出しとその現状やコミュニティによる対応の状況を整理し、その課題と支援の方法につきとりまとめる。第二に、人口減少都市圏のコミュニティ再生、成長の創出に関する考え方を欧州の現状と比較しながら分析し、取りまとめる。その成果は、できるだけ英文での発信を行うこととし、欧州系のジャーナルへの投稿を進めるほか、ウェブサイトの構築も検討していく。
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