研究課題/領域番号 |
23404027
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 都城工業高等専門学校 |
研究代表者 |
林田 義伸 都城工業高等専門学校, 建築学科, 教授 (00149999)
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研究分担者 |
太田 明子 (中川 明子) 徳山工業高等専門学校, 土木建築工学科, 准教授 (10442469)
中村 裕文 都城工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (50249893)
渡邊 道治 東海大学, 産業工学部, 教授 (70269108)
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研究期間 (年度) |
2011-11-18 – 2015-03-31
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キーワード | ギリシア建築 / ローマ建築 / イオニア式 / 円形神殿 / 実測調査 / 3Dレーザー計測 / アテネ / アクロポリス |
研究概要 |
1)実測調査:平成25年8月、ギリシアのアクロポリスにおいて、ローマとアウグストゥス神殿の3個の石材の実測調査を実施した。これは、1969年のビンダーの報告書には記載されていないものである。一個の円柱ドラム石材以外に、ほぼ完全な形状を保っている柱礎石材、それに、これまでには発見されていなかった、円柱が載せられないスタイロベイト石材と、復元作業において極めて重要な石材である。また、アテネ市内に建設されたローマ時代の建造物の接合部分の調査を実施した。昨年度の予備調査で判別した建築に関し、許可を得て実測調査を行った。実測調査を実施したのは、アテネのギリシア時代及びローマ時代のアゴラ、ハドリアヌスの図書館、アスクレピオス神域に建設されている建造物である。 2)建築の復元に関する研究:3D画像を用いて、より厳密なスタイロベイト石材やアーキトレイブ石材の解析を行い細部寸法の平均的な値を取得することが出来た。更に、スタイロベイト上面に残存する石材設置の痕跡や接合部の分析により、スタイロベイトと柱礎の間に何らかの部材が乗せられていた可能性が高いことを発見した。その部材を、ヴィトルヴィウスの記述を参照して拄台とし、拄台から柱頭までの高さを6.588mと復元した。また、エンタブラチュア高さは、今年度復元したコーニス高さを含み1.497mとなった。これは、エレクテイオン東正面の柱礎から柱頭までの円柱高さ(6.586m)やエンタブラチュア高さ(1.506m)にほぼ一致していることが判明した。 3)設計法の分析:復元寸法の検証を兼ねてこの神殿の設計法を分析する予定であるが、今年度は関連研究として、クラシック末期に建設されたデルフィのトロスや、アルカイック末期からクラシック初期に掛けて建設されたエギナのアファイア神殿の設計法に関する研究を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年8月で、予定していた石材の全ての実測を完了した。その調査で作成した石材の実測図の清書もほぼ完成した。また、神殿の復元に関しては、平面寸法及びオーダーの寸法を含み、第1案として完成させることができた。3D画像を用いた細部寸法の獲得手法についても、一通りの成果を得ることが出来た。施工法に関しては、平成25年度の調査データの解析が必要であるが、そのデータは実測値として取得した。設計法に関しては、本神殿の研究は進んでいないが、ギリシア時代の円形建築の設計法に関する分析を実施した。
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今後の研究の推進方策 |
デジタル化した実測石材図の書式を統一し、報告書として掲載可能な図として完成させる。また、平面や立面の復元案は、寸法値の解析による復元であるので、個々の石材に関する分析を進め、残存石材の配置なども考慮した復元案の作成を試みる。また、3D画像を用いた石材そのものの復元を試みる。更に、平面及び立面に関する設計法の分析を行うことにより、復元案を検証する。最後に、復元や設計法、施工法に関する分析研究結果や、本神殿の歴史的背景なども考慮し、本神殿の特徴について総括し、実測調査報告書として完成させる。
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