研究課題
北東アジアの大陸において2000 年代初め以降、最大規模の砂嵐が多発しており、大気中へ巻き上げられた砂塵(黄砂)の飛来も頻 繁に観測されており、その影響は深刻で、北東アジアの広範囲に及んでいる。研究代表者らは、2008 年以降、Cs-137 など放射性核種 を土壌粒子トレーサーとして用いることによって、飛来する砂塵の量および起源を解明した。この結果から、モンゴル、中国の過放牧 地帯の砂漠化しつつある草原が砂塵の発生地であることを明らかにした。本研究では、それら地域の表層土壌および砂塵中のヒト毒性 物質を含む環境汚染物質の動態を解明し、我が国への影響について明らかにすることを目的としている。平成25年度はモンゴル国中央部のフスタイ国立公園ステップとウランバートル北東部のテレルジ国立公園の森林ステップを中心に調査を行った。調査項目は、1)植物群落の種組成の解析と 生産量の測定、2)土壌調査及び土壌試料の採取と理化学性の分析、3)土壌中のヒト毒性(特に環境ホルモンエストロゲン反応)に ついての解析と評価、である。上記調査の結果、以下のことが明らかとなった。 フスタイ国立公園内トゥール川河川敷の土壌試料について 活性が確認できた。そこで、これら周辺の環境には、河川水から浸出した化学物質が集積しているのではないかと考えられた。その後行った、 トゥール川の水試料を用いたReal-time PCRでは、ER-α、α-c-junともに発現量が増加した。これらの結果から、トゥール川沿岸部の 土壌及び河川水には内分泌かく乱作用を示す物質が集積していることが推測できた。上記の結果を受けて、とりまとめの年度となる今年度は、ヒトの健康の維持や環境資源、野生生物の保護のための対策及び環境保全の提言を研究成果報告書にとりまとめた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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植生学会誌
巻: 30(2) ページ: 85-93
Phytocoenologia
巻: 43 ページ: 41-52
10.1127/0340-269X/2013/0043-0540