研究課題/領域番号 |
23405002
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮島 利宏 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (20311631)
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研究分担者 |
渡邉 敦 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (00378001)
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キーワード | 海洋生態 / 環境変動 / 炭素循環 / 酸性雨 / サンゴ礁 / 海草藻場 |
研究概要 |
1.現地における海洋酸性化モニタリングを迅速化するために、東京工業大学においてアルカリ度自動滴定装置を調達し、これを現地研究機関(フィリピン大学海洋科学研究所附属ボリナオ臨海実験所)に設置して現場観測試料の分析に供用を開始した。2011年9月および2012年3月に主要な調査サイトにおける観測を実施し、海域の物理環境や生態系の状態が酸性化影響や栄養塩負荷の伝播様式を規定するメカニズムを明らかにするための研究に着手した。また現地の研究者に分析等の作業を委ねるため、担当する若手研究者(リサーチ・アシスタント)を日本に招聘して観測・分析技術等のトレーニングを行った。 2.ボリナオ臨海実験所(ルソン島)およびバナテ湾水産資源管理協会(パナイ島)に雨量計と降雨採集装置を設置し、現地研究者と協力して大気降下物の通年観測を開始した。(2012年度にはミンダナオ島においても同様の観測を開始。)得られた試料を日本に持ち帰って栄養塩濃度等を分析し、結果を2012年6月のマニラにおける国際ワークショップで速報的に発表した。 3.ボリナオ海域及びプエルトガレラ海域において、大気由来環境負荷の影響評価のための生物移植実験を24年3月から開始した。 4.沿岸生態系への海洋酸性化影響の評価方法について現地研究者の意見を求めたところ、当初の計画調書に記述したことに加えて、実験水槽等を利用した操作実験を実施することに対する要望が強いことがわかったことから、当初計画を一部変更して、ボリナオ臨海実験所の屋外水槽を利用した操作実験を行うことにした。このため、当該分野の専門的知識と技術を持つ国内研究協力者1名に新たに加わって頂き、23年度交付予算の一部を次年度に繰り越し、24年度の予算と併用することにより、24年9月までに屋外水槽酸性化実験設備を立ち上げた。試験的運用を経て25年3月から本格的な操作実験を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初から23年度に実施する予定であった調査研究項目はほぼ予定通りに実施されている。相手国側研究者からの意見により新たに屋外水槽実験を加えるという計画変更を行い、このために予算と労力の一部を実験施設構築に回さなければならなくなったが、過去のプロジェクトで備蓄されていた資材を流用するなどで補い、また生物移植実験に関しては外国人特別研究員として滞在している若手研究者の協力を得ることができた。この結果、これまでのところ、当初計画の実施には支障が出ていない。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、当初の研究計画を一部変更して新たな実施項目として屋外水槽実験を加えたが、この追加分については既に対応済みであり、遂行上の問題はない。
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