社会性ハナバチが欠如するニュージーランドの高山生態系では、日本の高山植物群集に比べて個々の植物種の開花様式が不明瞭であり、群集内で開花時期の種間重複が大きい。これは、訪花活性の季節性がハナバチに比べてルーズな双翅目昆虫に花粉媒介を依存しているために、個々の植物種の開花時期に作用する選択圧が低いためと考えられた。また、ニュージーランドの高山植物は日本の高山植物に比べて花形態の多様性が低く、花色の多様性も顕著に低いことが明らかとなった。これら花形質の多様性の低さは、ハナバチ類の不在によってもたらされたものであることが示唆された。
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