研究課題/領域番号 |
23405007
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
大原 雅 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 教授 (90194274)
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研究分担者 |
齊藤 玉緒 上智大学, 理工学部, 准教授 (30281843)
塩尻 かおり 京都大学, 次世代研究者育成センター, 助教 (10591208)
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キーワード | 植物間コミュニケーション / 誘導防御 / 血縁度 / sagebrush / 食害 |
研究概要 |
本研究で研究対象とするSagebrush(Artemisia tridentata)は北米の乾燥地域に生育するキク科ヨモギ属の低木種である。Sagebrushは食害などで葉が傷つくと強い匂い(HIPVs)を放出し、自身の防衛反応を誘導する。さらに、Karban et al.(2006)の報告ではHIPVs放出個体から60cm以内に生育する無傷の他個体でも、HIPVsを受容すると防衛反応が誘導されることが明らかになっている。また、HIPVsを分析したところ、その組成は個体によって異なっており、近接する個体同士で類似した組成を持つことが示唆されている。本研究は、この動物行動学の分野で検証された「利他行動」および「血縁淘汰」の進化が、植物においても存在するという発想にたち、その実証試みるものである。 当初は、平成23年度にSagebrushのカリフォルニアにおける現地調査を行う予定であったが、対象植物の開花期(7月)に、急遽 Karban教授が大学での公務により野外調査の参画が困難になり、調査を断念せざるを得なくなった。その野外調査費を平成24年度に繰り越しを行った。その結果、大原(代表者)と塩尻(分担者)が、Karban教授の参画が可能な時期に合わせて、単独および合同でカリフォルニア州の調査地に赴き、予定していた平成24年10月末までに野外調査および化学分析用の匂いおよび葉のサンプル採集を行い、無事に調査を終了することができた。採集された匂いサンプルは日本においてHIPVsの分析を行い、個体の持つ匂い成分の類似度解析を行った。また、葉のサンプルに関しては、マイクロサテライトマーカーを用いた遺伝解析を行い、個体間の遺伝的類似度の解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度分の繰り越しを承認していただいたお陰で、無事に調査を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の遂行できなかった分を繰り越しにより、挽回できたため、当初の計画通りに平成25年(最終年度)の調査、研究を行っていく。
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