研究概要 |
研究計画 水稲のRYMV抵抗性に関する育種を進めた。RYMV抵抗性の程度を異にする品種、Gigante,Moroberekan,NERICA6を初めとする陸稲NERICA数品種を、感受性の水稲品種に交配し、そのF_1種子を得た。各組合せのF_1株に由来するF_2集団を抵抗性検定し、抵抗性の分離株を確認後、戻し交配を開始した。既知のRYMV抵抗性はいずれも劣性遺伝子のため、自殖後代の抵抗性の分離株(すなわち抵抗性ホモ個体)を確認後に戻し交配する。このように、RYMV抵抗性を確認しつつ、圃場では実用形質について選抜を繰り返す。 RYMVの簡易診断法の確立、媒介虫以外の伝搬経路の解明、ウガンダとタンザニアの多数の分離株を用いた系統学的検討などを行い、ウイルス学的新知見を得て、東アフリカの安定した稲生産に貢献することを目的として開始した。簡易同定法としてはRIPAとDIBAが有望であり、Whatman社製FTA^RカードからのRT-PCR法での検出も可能であることも示した。鋏による接種他を検討し感染を認めた。CP領域のアミノ酸配列からウガンダ株の多くはS4血清型に分類された。また、抵抗性品種とされるWITA9から得た分離株を含むRYMV分離株においてORF1,0RF2a,2bの解析を行い、ORF1はタンザニア株AJ608218他と94~97%、ORF2a,ORF2bはマダガスカル株AM883056他と96%相同性を示した。タンザニア株はS4-LV型が北部モシ周辺で発生していることを示した。 Striga類の作物への寄生や防除について、ケニアとマラウイで農家の意識調査をした。また、Striga類の陸稲への影響について文献調査をし、その結果をまとめた。S. hermonthica抵抗性の"日本晴"と感受性の"Dourado"、中間型の"NERICA1","NERICA4","NERICA10"を交配した。組合せによって不稔も見られたが、F_1種子を自殖し、F_2種子をケニア西部のS. hermonthica汚染圃場に栽培した。これら陸稲の根寄生雑草に対する抵抗性程度を調査し、遺伝子分析のためにF_2植物体の葉身を採集した。今後F_3種子を採集する。
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