研究課題/領域番号 |
23405020
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
村井 保 宇都宮大学, 農学部, 教授 (90284091)
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研究分担者 |
夏秋 知英 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10134264)
西川 尚志 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (60361614)
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キーワード | 植物 / ウイルス / 媒介虫 / 防除 / 天敵 / 遺伝子解析 |
研究概要 |
最近わが国では、コナジラミ伝搬性のトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)とトマトクロロシスウイルス(ToCV)が大問題となっている。一方、インドネシアでもコナジラミ伝搬性ウイルスの劇症系統が大発生し、トマトやトウガラシ、ダイズなどが大打撃を受けている。このような諸外国の難防除虫媒性の強毒ウイルスがわが国に侵入するのは時間の問題である。本研究では、激発地のインドネシアで難防除害虫のコナジラミ、アザミウマ、アブラムシおよびその天敵を探索し、圃場レベルの各種耕種的防除法(障壁植物、ネット、農薬、抵抗性品種など)を検討するとともに、病原ウイルスを遺伝子レベルで比較・解析して弱毒株を選抜し、インドネシア・日本の双方で通用する総合防除法の確立を目指すことを目的としている。具体的には、1)ウイルス媒介虫の発生生態の解明と天敵の探索、2)ウイルスの総合的防除法の確立、3)病原ウイルスの遺伝子の解析と弱毒ウイルスの選抜、の3項目を目標としている。平成23年度はこの3項目のうち、1)ではタバココナジラミ、オンシツコナジラミおよびspirallingwhiteflyのウイルス病罹病作物での発生とアザミウマの天敵のアザミウマヒメコバチの発生を確認することができた。3)については、コナジラミ伝搬ウイルスのうち両国で大発生しているToCVの全塩基配列を決定し、日本で未発生のCowpeamildmottlevirusの遺伝子解析を開始した。さらに、インドネシアでピーマン葉脈黄化ウイルス(Pepperveinyellowsvirus,PeVYV)に近縁のウイルスを沖縄県以外で初めて発見し、その遺伝子解析も開始した。また、インドネシア研究者と「Plantviruses,theirvectors,andmanagement」というシンポジウムを開催し、防除法の確立に向けて意見交換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
最近は、コナジラミやアザミウマによる難防除虫媒性ウイルスが世界中で問題となっており、インドネシアで研究材料を順調に収集した。インドネシアのダイズ品種についても入手でき、アブラムシに対する抵抗性評価についても検討し、いくらかの品種で抵抗性を持っていることを明らかにした。この間、全く発生を予想していなかったPeVYVをインドネシアで発見したことは、インドネシアの植物ウイルス学上画期的であり、当初の計画以上に進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後も難防除虫媒性の強毒ウイルスが激発しているインドネシアにおいて、1)ウイルス媒介虫の発生生態の解明と天敵の探索、2)ウイルスの総合的防除法の確立、3)病原ウイルスの遺伝子の解析と弱毒ウイルスの選抜、の3項目を目標として研究を推進する。.
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