研究概要 |
スーダンでストライガ(Striga hermonthica)および感受性のソルガム品種Dabarをポットで栽培し、寄生関係にある両植物のアブシジン酸(ABA)および土壌水分に対する応答を調査した。土壌乾燥処理と同様に、ABAの葉面散布処理に対してもストライガはソルガムに比べて気孔開度、気孔コンダクタンスおよび蒸散速度の低下が小さいことが確認された。また、出芽前および出芽後いずれのストライガ個体でも、湿潤条件、乾燥条件によらず、ABA濃度は宿主植物ソルガムに比べて約10倍高いことが判明した。 イネについては、前年度に行ったライゾトロンでの評価において、ストライガ抵抗性が高く、寄生したストライガを高頻度で枯死させたSATREPS1、この品種と同等の高いストライガ抵抗性を示したNERICA5とNERICA13、ストライガ感受性と判断されたNERICA4とNERICA18に、対照品種として日本晴を加えた計6品種のイネを用いてポット試験を行った。ストライガ種子16 mgを土壌9kgに混入した条件では、ポットあたりのストライガ出現数は、それぞれの品種で0, 0.5, 2.5, 6.7, 13.0および4.7に達した。ストライガを混入したポットでの各品種の穂重は、ストライガを混入していないポットに対して、それぞれ120, 85, 106, 25, 44および45%であった。以上の結果から、SATREPS1とNERICA5は、ライゾトロンまたはポットを用いた二つの調査において、安定したストライガ抵抗性を示した。NERICA13は、この2品種と比較するとストライガに寄生されやすかったが、寄生による穂重の低下が認められなかったことから、ストライガ耐性品種である可能性が示唆された。NERICA4とNERICA18の高いストライガ感受性もライゾトロンおよびポット内で確認された。
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