研究課題/領域番号 |
23405025
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
伊藤 進一郎 三重大学, 生物資源学研究科, 特任教授 (90092139)
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研究分担者 |
梶村 恒 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10283425)
中島 千晴 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (20378318)
福田 健二 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (30208954)
松田 陽介 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (30324552)
山田 利博 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (30332571)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | Raffaelea quercivora / アジア / ブナ科 / 酵素活性 / 接種試験 |
研究概要 |
本年度は,アジア各国で発生している樹木の衰退,枯死被害の現状把握と被害発生の原因調査をすすめた.被害に関与する伝播者についての調査では,タイ,中国,韓国,インドネシアへ赴き,引き続き被害に関与する伝播者について調査を行った.必要な際は,潜在的な病原菌およびその伝播者の特定をすすめた.菌類の感染機構に関する調査では,Raffaelea quercivoraの生産するタンニン分解酵素と病原力の差異を明らかにするため,由来の異なる菌株を用いて培養試験と苗木への接種試験を行った.山形県,富山県,東京都,三重県,鹿児島県の5都県から採取された32菌株を用いて,タンナーゼとラッカーゼの活性を測定した.前者の活性では,タンニン酸を添加したCzapek Dox’s寒天培地上に形成された変色域の面積を計測し,後者ではABTSを添加した1/2PDA培地の変色の有無を評価した.両酵素活性が異なった4菌株を用いてミズナラ苗木への多点接種試験を行った.その結果,R. quercivoraが形成したタンニン酸添加培地の変色域の面積,ABTS添加培地における変色の有無は菌株間で異なる傾向にあった.多点接種試験では,供試した4菌株間で苗木の枯死率が有意に異なった.これらから,R. quercivora菌株間における両酵素活性や樹木に対する病原力に差異がある可能性が示唆された.しかし,多点接種試験で用いた4菌株のうち,タンナーゼとラッカーゼの活性が一番高かったものの枯死率の割合は最も低かった.以上より,R. quercivoraの産生するこれら2種類の酵素活性と病原力との間には明瞭な関連性は見いだされなかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外におけるブナ科の枯損被害,病原菌の菌株特性をふまえた接種試験など計画に沿って順調に進められている
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今後の研究の推進方策 |
引き続き,当初計画案に従い遂行する.
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