研究概要 |
1)スーダンにおける調査およびサンプリング:スーダン科学技術大学と協力して,ヒルギダマシ林の分布状況の広域調査と,DNA解析の ためのサンプ リングを行った。あわせて,ラクダなど,家畜による食害の実態を調査した。現地では,中島(代表)を中心とした調査チー ムで対応した。 2)サウジアラビアにおける調査およびサンプリング:サウジアラビアの紅海側において,王立サウジアラビア野生生物委員会(SWC) と 協力して,ヒルギダマシ林の分布状況の調査と,DNA解析のためのサンプリングを行った。その際,現地の植林事情に詳しい,NGOマングロ ーブ植林行動計画からの協力を得た。並行して,数カ所に10×10mから20×20 m程度の調査プロットを設定し,ヒルギダマシの形態と林 分構造および土壌水の塩分濃度との関係について調査した。さらに,同カ所を中心に光合成・蒸散特性の調査のためのサンプリングを 行った。なお ,調査区の管理については,沿岸警備隊に監視を依頼した(継続)。現地では,吉川(分担者)を中心とした調査チームで対 応した。 3)DNAの解析:現地から持ち帰ったサンプルは,岡山大にてDNAの分析を行い(分担者・吉川,連携研究者・三木),マイクロサテライト法 にてエリア間の遺伝的な近縁性について検討した。なお,ヒルギダマシに関しては,マーカー開発が途上であるため,これも並行して実 施した。 4)光合成・蒸散特性の解析:現地から持ち帰ったサンプルは,三重大にて光合成・蒸散特性の分析を行った(連携研究者・松尾)。ヒル ギダ マシに関しては水分の移動経路が明確になっていないため,同位体分析法を用い,水利用効率などに関する検討も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地のカウンターパートとの関係も良好で,継続調査,新規調査地でのサンプリングも実施できている。国内での研究交流も実現できている。スーダンでは,多数のマングローブ林におけるサンプリングが終了し,サウジアラビアでは南端から中域までの半分以上の林分でのサンプリングを終えることができた。その結果,現地で問題となっているラクダの食害の影響の可能性を認め,DNAレ ベルでの分布傾向も把握できつつある。また,対象植物としたヒルギダマシの光合成,水利用特性についても,樹体内での水分布に関 する新知見を得た。これらに関する公表にまで至っていないが,データの蓄積も計画通りであり,概ね順調に進展にしていると自己評価し ている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで調査対象としていたエジプトは政情が政情が安定していると言えない状態にあるため,スーダンとサウジアラビアに集中させヒルギダマシ林の分布状況の広域調査と,DNA解析のための追加サンプリングを継続する。並行して,数カ所に10×10mから20×20 m程度の調査プロットを設定し,ヒルギダマシの形態と林分構造および土壌水の塩分濃度との関係について調査する。さらに,同カ所を中心に光合成・蒸散特性の調査のための追加サンプリングを行う。なお ,調査区の管理については,現地の研究者に監視を依頼する。現地では,中島(代表)を中心とした調査チームで対応する。 2)DNAの解析:現地から持ち帰ったサンプルは,岡山大にてDNAの分析を行い(分担者・吉川,連携研究者・三木), マイクロサテライト法にてエリア間の遺伝的な近縁性について継続的に検討する。なお,ヒルギダマシに関しては,マーカー開発が途上であるため,これも並行して実施する。 3)光合成・蒸散特性の解析:現地から持ち帰ったサンプルは,三重大にて光合成・蒸散特性の分析を行う(連携研究者・松尾)。ヒルギダマシに関しては水分の移動経路が明確になっていないため,同位体分析法を用い,水利用効率などに関する検討 も行う。
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