研究課題/領域番号 |
23405028
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
熊谷 朝臣 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 准教授 (50304770)
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研究分担者 |
上村 真由子 日本大学, 生物資源学部, 助教 (60444569)
松本 一穂 琉球大学, 農学部, 准教授 (20528707)
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キーワード | 環境対応 / 環境変動 / 国際協力 / 水循環 |
研究概要 |
最終目的は、カンボジアにおいてゴム林造成とその背景となる環境変動が地域の水・炭素循環に及ぼす影響を明らかにすることであり、そのために、まず、詳細なフラックスタワー観測を元に熱・水・二酸化炭素交換モデルの開発とこれを用いたゴム林の水・炭素収支評価を行うことが前提となる。 当年度の第一目標として、モデル構築の前提となるフラックス観測システムの補強・拡充と個葉生理特性・土壌炭素動態の計測スケジュール決定・開始があったが、これらは全て良好に行なわれた。具体的には、樹冠貯留フラックス、個葉光合成蒸散速度の空間分布、土壌呼吸と有機物分解過程の諸観測である。また、これらの観測を長期継続して行うためのシステム構築も良好に行なわれた。 当年度では、モデルが観測地カンボジアにおけるゴム林に適用可能かどうかを判断するに足るデータが完全には揃っていないが、モデルの開発は精力的に行なわれた。特に当年度の成果として、東南アジア熱帯域に属する他サイトを利用したモデルの正当性確認を通じたフラックスモデルのブラッシュアップが挙げられる。降水時を含めた様々な環境条件下の二酸化炭素フラックスの再現に成功した。 現段階のモデルでは、土壌環境(特に水分動態)の記述が十分でなく、また、個葉生理特性の季節変動も考慮していない。カンボジア・ゴム林では降水の強い季節性があり、これに適応するために現モデルを鋭意改良中である。そもそも、そのような環境因子の季節変動データそのものが不足しており、現在そのデータ完備の努力を続けている。 また、ゴム林の造成により、大気環境が変化するという報告があり、多層モデルは大気境界層まで連続する必要がある。これについても、現在作業中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度中にできると予想していたこと(ルーチン観測システムの完備、データセット・アーカイブの構築)に加え、今年度中ではできないであろうと予想していたこと(本研究の主体となるシミュレーションモデルの完成)まで予定通りであった。
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今後の研究の推進方策 |
通年フラックスデータの取得に伴い、フラックスの季節変動の程度を解析する。シミュレーションモデルの開発を継続し、雨季・乾季の環境因子・フラックスデータを利用してフラックスの年々変動・季節変動をモデルが適切に表現できるかの正当性確認を行う。適宜、主体となるシミュレーションモデルのサブモデルを構築し、最終的な完成を目指す。
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