研究課題/領域番号 |
23405028
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
熊谷 朝臣 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 准教授 (50304770)
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研究分担者 |
松本 一穂 琉球大学, 農学部, 准教授 (20528707)
上村 真由子 日本大学, 生物資源科学部, 助教 (60444569)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 環境対応 / 環境変動 / 国際協力 / 水循環 |
研究概要 |
インドシナ半島内陸部3か所のゴム林の長期熱・水フラックスデータにより、ゴム林の大気-植生間熱・水交換特性を明らかにし、ゴム林の潜熱交換速度・植生水利用量が異常なほど大きいことを明らかにした。 また、樹液流計測を用いたゴムノキ個体レベルの蒸散特性/気孔開閉特性を明らかにした。群落スケールの大気-ゴム林の物質交換特性、つまり、物質交換の決定因子は、土壌水分と葉面積密が同程度、次に、飽差、放射と続き、気温は全く関与しないことが明らかとなった。通年スケールで取得された個葉スケール光合成特性データにより、ゴムノキは落葉直前にのみ光合成能力を減らし、着葉から落葉までほとんど光合成能力を変えないということが分かった。 ゴム林の熱・水・二酸化炭素フラックスを再現するためのシミュレーションモデルの構築を行った。ゴム林はゴムノキが整然と並び、その群落放射特性が特異であるため、その特性の計測・評価、モデル化に工夫が必要であった。これらは全て新規開発され、その問題点を克服できた。実測された光合成能力等の生理生態学的パラメータ利用して、モデルはフラックス計測値を良好に再現できた。このモデルの正当性確認の下に、ゴムノキの植栽方法による生産性・水利用の変化に関する数値実験を行い、特に、生産性を最大にする植栽間隔を得ることができた。このような数値実験を通して、本シミュレーションモデルの高パフォーマンスが示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題遂行上、最も重要事項である「ゴム林大気-植生間ガス交換過程モデル」の構築が現段階でほぼ達成されたためである。また、ゴム林におけるルーチン観測も順調に続けられており、当初の予定通りのデータ蓄積が行われていることも理由に挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
これから、ここまでで完成した「ゴム林大気-植生間ガス交換過程モデル」にラテックス産生シミュレーションサブモデルを組み込み、環境変化に対する天然ゴム生産の変化に関するシミュレーションを可能とする。さらに、インドシナ広域リモートセンシング・GISデータを援用して、エネルギー・水・炭素収支・天然ゴム生産シミュレーションを基本としたインドシナ内陸部山地ゴム林拡大-環境悪化ハザードマップ・最適ゴム林造成計画マップの作成作業に挑戦する。
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