研究課題/領域番号 |
23405029
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
森林科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
溝上 展也 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (00274522)
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研究分担者 |
吉田 茂二郎 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80128462)
佐藤 宣子 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (80253516)
加治佐 剛 九州大学, 大学院・農学研究院, 学術研究員 (60538247)
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キーワード | 森林減少・劣化 / 画像解析 / 熱帯林 / 伐採 / 林業 / アジア |
研究概要 |
「熱帯林での林業活動(択伐)は森林減少・劣化を引き起こす」との論文が最近いくつかみられる。本研究の目的は,このアマゾン等熱帯雨林での見解を熱帯アジア,なかでも,カンボジアとミャンマーを主対象にフィールド調査と衛星画像解析により詳細に検証することにあり,熱帯林での持続可能な林業活動の成立条件を探ることに到達目標がある。 カンボジアでは、フィールド調査を特に進め、大径木の択伐による残存木の損傷被害を調査し、定量化を試みた。その結果、残存木被害本数は立木密度と残存木サイズとともに増加する傾向があり、伐倒木一本当り約2%の被害本数率であることが分かった。この被害率はインドネシアやアマゾンでの低インパクト伐採で報告されている値と類似していた。 ミャンマーでは、フィールド調査を伴う衛星画像解析を特に進め、森林減少と劣化の時系列変化の定量化手法を確立とともに、森林減少・劣化の要因分析を試みた。1856年より実施されているミャンマー択伐方式(MSS)で有名なバゴ山岳地の1989年から2006年にかけての森林減少と劣化を解析した結果では、標高および都市までの距離は森林減少と劣化の両方に強く影響を与えていたが、択伐強度(haあたり伐採材積)と村までの距離は森林減少とは関係なく、森林劣化のみと有意な関係があった。また、MSSで規程されている許容伐採量を遵守していた林班では択伐による森林劣化は見られないこともわかり、持続可能な熱帯林業を維持する上で、伐採強度が重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カンボジアとミャンマーの2つの国を対象としたフィールド調査および衛星画像解析は予定通り順調に進み、フィールド調査を主体としたカンボジアにおいても、衛星画像解析を主体としたミャンマーにおいても、伐採強度(単位面積あたりの伐採本数や伐採材積)が重要であることが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
カンボジアにおいては、引き続きフィールド調査を進め、伐採強度と被害率のより汎用性のあるモデル化を行うとともに、衛星画像による時系列解析も同時に進める。ミャンマーでは、特にフィールド調査を重点的に実施し、特にミャンマーで特徴的なゾウ集材による被害の程度の定上量化を試みる。
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