研究課題/領域番号 |
23405030
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 滋賀県立琵琶湖博物館 |
研究代表者 |
草加 伸吾 滋賀県立琵琶湖博物館, 研究部, 専門学芸員 (70359264)
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研究分担者 |
大久保 卓也 琵琶湖環境科学研究センター, 総合解析部門, 副部門長 (60280814)
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キーワード | 倒木遮蔽更新仮説 / シベリアカラマツ / 再生阻害要因実験 / 森林再生促進 / 火事後再生 / 凍土 / 直線列 / 土壌水分 |
研究概要 |
昨年度は計画通り、6月と9月に実験設定とその結果の回収のため、現地を訪れた。2011年春6月下旬から7月上旬に現地に出向き、ハトガル実験地、ヘクツアル実験地で再生阻害要因に関する実験設定を行った。平地のハトガル実験地では1箇所で、ヘクツアル樹冠焼失地の実験地では斜面上部、中部、下部の3箇所で焼失立木を東西方向に倒し、下記のそれぞれの実験区をランダムに設定し、条件設定に応じて播種を行った。秋9月に倒木の影響(南側、北側、倒木なし)、地表処理の効果(除草、熊手かき、対照区)、播種の有無の違いごとに発芽実生数をカウントした結果、両実験地とも、倒木の北側に熊手処理をして播種をした実験区が最もよく実生を生じる結果となった。 この再生阻害要因実験から、光による乾燥・阻害効果、種子の供給不足、堆積リターによる種子への水分供給の阻害、草本による被圧、乾燥害などが再生に影響していることが推察された。 環境条件の違いを知るために土壌水分センサーとデータロガー、温度センサー、ロガーも倒木の南北に埋設した。また土壌浸透水採取のため、テンションフリーライシメーターを焼け跡斜面下部に設置し、降水や河川水、湖水と共に採水した。 今回多雪のため、設定作業に時間がかかり、湖東岸のボルソフへは行く余裕がなく、異なる環境下での倒木周囲の実生・稚樹実態調査は一部にとどまった。ただ、ヘクツアルの別の火事跡で、かなり細い倒木4本にも、倒木遮蔽更新と考えられる1~2mの稚樹を十数例発見できたことは収穫であった。 実験に使用したシベリアカラマツ種子については、帰国後約1ヶ月に渡り、当博物館の人工環境室において、「国際種子検査規定1983」に基づいた、発芽率測定を行なった。その結果好条件でも約33%にとどまり、予想外に種子の発芽率が低いことが明らかになった。以上の結果は、再生促進のためのマニュアル作りにとって意義深く重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に計画していた調査、実験設定をほぼ完了できたため。
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今後の研究の推進方策 |
2012年6-7月ハトガル実験地、ヘクツアル実験地の実験結果データ取り、結果次第で補足種まき。ウランバートル、ボグド山あるいはその代替え地での新たな調査地選定(再生促進実験用)、種まき。ボグド山のように人為干渉が強い場合、実験用倒木が持ち去られる可能性がある。 8-9月ボグド山(代替え地)での森林再生促進実験地データ採取、ハトガル実験地、ヘクツアル実験地の実験結果データ取り、継続調査、補足種まき。土壌浸透水の回収・分析。倒木周囲の実生・稚樹定着実態調査,地元でのシンポジウムか国際会議等で成果発表(8月)。 10-12月データ整理、実験結果の解析。倒木遮蔽更新仮説に関する論文投稿。会計報告書準備、再生促進のための作業マニュアル検討。 2013年1-3月実験結果の解析、可能ならばモンゴルエコフォーラムか学会での発表。中間報告書準備。 4月以降:再生促進手法に関する論文作成、投稿。作業マニュアルの完成。
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