研究課題/領域番号 |
23405031
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西川 淳 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (10282732)
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研究分担者 |
宮島 利宏 東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (20311631)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 食用クラゲ / 国際研究者交流 / クラゲ漁業 / 生活史 |
研究概要 |
東南アジアにおけるクラゲ漁業の実態の解明および食用クラゲ類の生物・生態学的知見を得ることを目的とし、マレーシア、タイ、ベトナムの3カ国で調査・研究を実施した。マレーシアでは、プトラ・マレーシア大学と共同ででバガン・ダトーにおけるクラゲ漁業の実態調査、食用クラゲの個体群動態に関する調査を実施し、さらにクラゲを多数採集し実験室で飼育を試みた結果、世界ではじめてプラヌラを採取することに成功し、ポリプを確保することが出来た。タイでは、昨年に引き続きアンダマン海およびタイ湾南西部で、ブラパ大学との合同調査を実施し、食用クラゲ類の共生生物に関する研究とヒドロクラゲ、クシクラゲ相に関する研究を行った。ベトナムでは、ベトナム海洋環境資源研究所と共同で北部タン・ホアおよびドン・ソンで食用クラゲの遺伝的多様性に関する研究を行い、南部ニャチャンにおいてヒドロクラゲ、クシクラゲ相に関する比較研究を行った。 これらの成果の一部は、論文1編、著書1編として公表した他、国際学会発表9件、国内学会発表3件として発表した。また、研究内容の新規性から北里大学の報道発表として取り上げられ、報道された。 以上のように、本年度は研究二年目にあたるが、従来知見が乏しかった東南アジア3カ国でのクラゲ漁業に関わる水産学的知見や食用クラゲ類の生物、生態学的知見、特に初期生活史や個体群動態の一部を明らかにできた。また、共同研究を通して、海外共同研究者や大学院生の研究教育にも貢献できたと考えている。一方、学術論文や学会発表として公表できた部分は限られており、最終年度に当たる次年度にその成果をまとめて公表できればと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、前年度の成果を踏まえてタイ国、マレーシア国、ベトナム国において共同研究者と共に精力的な研究活動ができ、おおむね順調であると考えている。ただし、各国で年に1度の海外調査が主体となっており予算も限られていたことから、食用クラゲの生活史や個体群動態に関してはまだデータが限られており、来年度にさらなる追加研究を実施したい。 また、研究論文の公表や学会発表は今年度もある程度行うことが出来たが、研究論文については不十分であると認識しており、次年度に積極的に公表を目指す。そのためのデータの蓄積は国内外の学会発表件数の多さからも十分であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては、まず本年度に実施できなかった東南アジア諸国での調査を実施したい。特に、食用クラゲの生物、生態学研究を中心に、論文公表する上で足りない部分を補う形で調査を行い、帰国後すみやかに研究成果の公表を行っていきたい。現在のところ研究を遂行する上での決定的な問題点は生じていないが、近年、タイ国で大規模な洪水が発生するなど調査地での天変地異状況ならびに政治・社会情勢には十分に注意を払い、海外共同研究者と事前に綿密な連絡をとりつつ、安全かつ効率的に研究を遂行していきたい。 タイ国では、食用クラゲに関する国際ワークショップを開催し、ブラパ大学でのクラゲ飼育システムを確立するとともに、現地研究者の研究教育を支援する予定である。また、一般へのアウトリーチの一環ともしたい。一方、マレーシア国、ベトナム国から研究者を日本に招聘し6月に開催予定の国際シンポジウムで発表させ、日本国内で共同研究をする機会を作りたい。研究年度の最後にあたるので、培った人的ネットワークを最大限に生かしつつ今後にも繋がる形で研究を進めていきたい。
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