研究課題
東南アジアにおけるクラゲ漁業の実態の解明および食用クラゲ類の生物・生態学的知見を得ることを目的とし、マレーシア、タイ、ベトナムの三カ国で調査・研究を実施してきた。マレーシアでは、プトラ・マレーシア大学と共同で、ペラ川河口で行われているクラゲ漁対象種の初期生活史を世界で初めて明らかにした。また、クラゲ類の個体群変動に関しても、各地で調査を実施した。大型クラゲ類の共生生物群集と海洋生態系における生物的機能を解明することを目的とし、タイ、フィリピン、マレーシアの3ヵ国で調査を実施した。ブラパ大学と共同で実施したタイでの調査では、3種の食用根口クラゲからクロボシヒラアジ・カイワリの稚魚、クラゲモエビ、シマイシガニ、クモヒトデ類の共生が確認された。共生個体の詳細な研究から、これらの共生生物は浮遊幼生期を経てクラゲ類に直接定着していることが推測された。さらにクラゲ漁業が共生生物のリクルートへ与える影響について、混獲されるクモヒトデ類の年間の死滅個体数を試算した。その結果、年間1億3千万~1億7千万個体のクモヒトデ類が混獲され死滅していると試算され、膨大なクモヒトデ類の死滅は海洋生態系に大きく影響すると予測された。炭素・窒素安定同位体比分析比の結果、共生生物とクラゲ類間に直接的な食関係はないことが示唆された。調査した3ヵ国すべての地域においてクラゲの種類を問わずクロボシヒラアジ稚魚の共生が確認されたことから、大型クラゲ類はクロボシヒラアジの初期生残に大きな影響を与えていることが考えられた。本年度は最終年度にあたるため、論文作成や研究発表も積極的に行った。論文4編、著書2編として公表した他、国際特許2件、国際学会発表7件、国内学会発表8件を行った。特に、国内外での招待講演を含む一連の研究発表では、本研究プロジェクトの成果をアピールできた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (15件) (うち招待講演 4件) 図書 (2件) 産業財産権 (2件) (うち外国 2件)
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