研究課題
本研究は,乾燥地の多様な地域資源を活用する環境保全的な植生管理と適正技術の導入によって,塩類化農地での塩類化の抑制と持続可能な高収益植物生産の両立を目指す。初年度の23年度は,中国甘粛省平堡等に試験圃場および観測温室を設定し,植生管理計画の策定,環境測定機器の設置および試料・データの収集管理と解析手段の確立を行った。また、九州大学等において,基礎実験(大型植栽コラム実験,地下水による高糖度トマト栽培実験,簡易太陽熱淡水化装置)を開始した。24年度は,中国平堡試験地等に植生管理区画(トウモロコシ,ヒマワリ,ビート,コムギ,タマリスク,裸地)での塩類集積等の多様な環境要素の経時測定を継続し、土壌への塩類集積のシミュレーションモデルを検討した。また、現地の農家の中国式日光温室で,エネルギー収支等の観測を継続した。さらに、タマリクス根に接種したニクショウヨウが越冬不可能であることが判明した。国内では、塩類化地下水を活用した高糖度トマトの水耕栽培実験、蒸留淡水化実験、太陽光蓄放熱試験を実施し,それらの有効性を明らかにした。最終年度の25年度においては,中国平堡試験圃場および日光温室での観測を継続して実施するとともに,実証実験,モデル実験などで得られたデータと合わせて総合的な解析を行なった。作物の水およびイオン吸収特性および塩類集積能に依存した土壌への塩類集積を明らかにし、開発した根の蒸散統合型イオン吸収モデルを応用した塩類集積のシミュレーションの可能性を示唆した。また、日光温室での熱収支を明らかにし、土壌の蓄放熱効果と夜間の外断熱の有効性を定量的に明らかにした。以上の結果をもとに,砂漠化進行地域における持続可能な輪作体系,高付加価値植物の周年施設生産および蒸留淡水化システムによる塩類動態制御技術等を導入した持続可能な「乾燥地農場モデル」の有効性を提示した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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