研究課題/領域番号 |
23405040
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
石黒 直隆 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00109521)
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研究分担者 |
猪島 康雄 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20355184)
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キーワード | ミトコンドリアDNA / ニホンオオカミ / エゾオオカミ / イヌ / 系統解析 |
研究概要 |
明治中期まで日本には、北海道にエゾオオカミが、本州、九州、四国にはニホンオオカミが生息していた。しかし、今では、その雄姿をみることはできない。本研究は、絶滅したエゾオオカミとニホンオオカミの起源と系譜を明らかにする目的で、日本周辺の諸国(中国、ロシア)にて海外調査を実施する。ロシア・沿海州のウラジオストックは、日本に地理的に近く、日本の動植物のものが多く残る場所である。本調査では、ウラジオストックに残存する古代資料について解析する。また、日本の各地に飼育されている狩猟犬に関しても、ニホンオオカミの系統を探る目的で、狩猟犬の遺伝的背景を解析する。 1)ロシア・ウラジオストック周辺地域から出土したイヌ・オオカミの遺伝子解析:古代の遺跡から出土したイヌ・オオカミの下顎骨26サンプルに関して、骨粉を採取したのち、常法に従って古mtDNA解析を行った。26サンプルの内、25サンプルからmtDNAを増幅することができた。増幅したmtDNAの配列をニホンオオカミと比較したところ、ニホンオオカミやエゾオオカミに近い配列は検出できなかった。 2)日本の狩猟犬のmtDNA解析:昨年度に引き続き、現在、各地で飼育されている狩猟犬の中にニホンオオカミの系統が混在していないか知る目的で、採取した血液から粗DNAを分離し、mtDNAのDループの解析を実施した。検査したサンプルは、愛知県および九州地方(鹿児島県や長崎県)と沖縄県の離島にて飼育されている狩猟犬を調査資料とした。しかし、解析した狩猟犬145頭からは、絶滅したニホンオオカミの系統を見つけることができなかった。 古代資料に関しては、解析するサンプル数を増やす必要があると共に、解析資料の場所(遺跡場所)等に関しても検討が必要であろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外調査に関しては、概ね順調に推移しており、海外の共同研究者等とのコミュニケーションはよく取れている。ただし、解析可能な古代資料が少ないことから、目的に近い遺伝的背景を有する古代サンプルを得ていないのが現状である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、絶滅したニホンオオカミやエゾオオカミと同じ遺伝的背景を有する現生オオカミや古代オオカミを日本以外の地域で検出することである。現生オオカミの個体数は、激減していることから、現生オオカミ集団中で足跡を検出することは困難であることから、考古試料中での分離に期待をしたい。今後は、遺跡の場所を変えると共に解析サンプル数を増やすことにより、対応したく考えている。
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