研究課題
平成24年度では、ベトナムにおける家畜の住血性原虫病の流行実態の解明を目指し、次のような研究項目を実施した。1)野外で実践可能な以下の家畜住血性微生物の各種診断法を確立し、野外で実践した。牛バベシア(Babesia ovata, Babesia bovis, Babesia bigemina)、牛タイレリア(Theileria annulata, Theileria orientalis)、及び牛トリパノソーマ(Trypanosoma evansi, Trypanosoma theileri)の遺伝子診断法、牛バベシア(Babesia bovis)及び牛タイレリア(Theileria orientalis)の遺伝子多型解析法、牛バベシア(Babesia bovis, Babesia bigemina)及び馬バベシア(Babesia caballi)の血清診断法、牛マイコプラズマ(Mycoplasma ovis, Candidatus Mycoplasma haemovis)及び牛アナプラズマ(Anaplasma phagocytophilum)の遺伝子診断法。2)ベトナムの家畜の住血性原虫病の分子疫学調査を行った。ベトナム中部(フエ)及び北部(ハノイ)において採材された計423 DNAサンプル(内訳、牛:202検体、水牛:43検体、羊:51検体、山羊:127検体)を用いて、牛バベシア(Babesia bovis, Babesia bigemina)、牛タイレリア(Theileria annulata, Theileria orientalis)、及び牛トリパノソーマ(Trypanosoma evansi, Trypanosoma theileri)の遺伝子診断を行った結果、Babesia bovis、Babesia bigemina、Theileria orientalis、Trypanosoma theileriが検出された。
1: 当初の計画以上に進展している
1)分子疫学研究に必要な標的原虫種(バベシア、タイレリア、及びトリパノソーマ)の特異的な遺伝子診断法と遺伝子多型解析法を確立できたこと、2)実際にベトナムの家畜動物から得られたDNAサンプルから病原性のタイレリア、バベシア、トリパノソーマを検出できたこと、3)バベシアの血清診断法や牛マイコプラズマ及び牛アナプラズマの遺伝子診断法を確立したこと。4)それらの成果のほとんどを学術論文として発表できたこと等、当初の計画以上に進展している。本研究課題は順調に進展している。
本研究では、ベトナムにおける家畜の住血性原虫病の流行実態の解明と防疫対策の技術向上を目指している。最終年度の推進方策として以下の項目を実施する。1)フエ及びハノイから得られたサンプルの分子疫学解析を継続する。2)各種原虫病の遺伝子診断法、遺伝子多型解析法、血清診断法の確立の継続や技術の向上を行う。3)分子疫学調査のデータを、現地に適した診断法、予防法、及び治療法の開発に向けてベトナムにフィードバックする。4)研究を統括し、①疫学調査の成果を日本国内の動物検疫機関に提供し、国内検疫体制の強化に資する;②東南アジア各国の関係機関に情報・助言を提供し、各国の診断・予防・治療対策の向上に資する;③OIEにも随時情報を提供し、グローバル規模での疾病制御に貢献するなど、得られた成果の情報発信を行う。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件)
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