研究課題/領域番号 |
23405042
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
保田 昌宏 宮崎大学, 農学部, 准教授 (10336290)
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研究分担者 |
末吉 益雄 宮崎大学, 農学部, 教授 (10305063)
那須 哲夫 宮崎大学, 農学部, 教授 (40108725)
森田 哲夫 宮崎大学, 農学部, 教授 (90301382)
佐々木 基樹 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (50332482)
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キーワード | キバノロ / 肉眼解剖学 / 組織学 / 系統発生学 / 感染症 / 生態学 |
研究概要 |
調査研究実施国である韓国のソウル大学獣医学部・獣医解剖学研究室(海外共同研究者:木村順平准教授)を拠点にして、韓国国内で出るロードキルや救護後死亡キバノロ個体を回収し解剖ののちホルマリン水溶液で保存した。本年度入手できた死亡キバノロ個体数は50以上にのぼる。その中で比較的新鮮で状態がいい胎子期から成熟個体までの様々な発育段階の内臓諸臓器について、韓国の輸出許可を取るとともに日本の動物検疫所へ連絡して検査を受け日本国内へ正式な手続きを経て輸入した。さらに、韓国国立森林公園で飼育されているキバノロの新鮮個体も入手でき、各種臓器をブアン固定した。現在、これらの臓器を用いて原始的な反芻動物であるキバノロの骨格系、筋系、神経系、泌尿器、内分泌系及び循環器系などを肉眼解剖学な観察を実施しており、今後の様々な臓器の組織学的な研究を実施に展開する。本年度の具体的な成果を上げると、1)キバノロの腕神経叢を肉眼解剖学的に観察し、腕神経叢は第六頚神経から第一胸神経から形成されていることや、牛などと同様に腋窩動脈を巻き込む腋窩ワナを形成していることを明らかにした。2)他の鹿科の動物と同様に肝臓に胆嚢がないことを明らかにした。3)膵臓は右葉、左葉、膵体からなり、膵切痕を形成し、そこを門脈や肝動脈が通過することも明らかにした。さらに特殊皮膚腺、舌乳頭の種類、食道筋層の構成筋の種類と分布、甲状腺の構造、副腎の構造、消消化管内分泌細胞の局在、リンパ器官の構造などの解析を行うための予備実験を行っている。死亡個体の中に肺炎や腸炎などの感染症の疑いのある症例がいるのでホルマリン固定したので今後、病理学的な観察を行う。また、韓国の救護センターで飼育されているキバノロ生体3頭に冬期の体温変化の観察を行うための体温測定用のデータロガーの埋め込みを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度から十分量のキバノロの死亡個体が入手でき,肉眼解剖学的な研究に着手できているため、当初予定どおりの進捗状況であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
入手したキバノロ臓器の肉眼解剖学手な検察や組織切片の作製、各種免疫染色によって本動物の特徴を明らかにしていく。
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