研究課題/領域番号 |
23405042
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
保田 昌宏 宮崎大学, 農学部, 准教授 (10336290)
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研究分担者 |
末吉 益雄 宮崎大学, 産業動物防疫リサーチセンター, 教授 (10305063)
那須 哲夫 宮崎大学, 農学部, 教授 (40108725)
佐々木 基樹 帯広畜産大学, 畜産学部, 准教授 (50332482)
森田 哲夫 宮崎大学, 農学部, 教授 (90301382)
上村 涼子 宮崎大学, 農学部, 助教 (90529190)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 野生動物 / キバノロ / 比較解剖学 / 生態学 / 比較生理学 |
研究概要 |
ロードキルおよび救護後死亡した個体から内臓を採出し、ホルマリン固定、ブアン固定あるいは凍結にて保存した。保存した臓器を用いて以下の研究を実施した。(1)キバノロの舌乳頭および味蕾の形態学的観察と系統発生学的な比較。(2)キバノロの腸管附属リンパ組織の免疫組織化学的観察を行い、他の反芻動物と系統発生学的に比較解析した。(3)咬筋の肉眼解剖学的観察。(4)腕神経叢の肉眼解剖学的観察。(5)アイメリア属と考えられる腸管内寄生虫の発見した。まず形態学的な解析を終了し、現在は分子生物学的な解析を行っている。(6)膵臓の血管分布と膵管の走行について肉眼解剖学的に観察を行った。 次に、ソウル動物園とソウル大学獣医学部の協力を得て、ソウル動物園で飼育されている個体を用いて次の研究を行った。冬期越冬戦略として休眠様低体温の利用の有無を観察するために、体温測定用のデータロガーをキバノロの皮下に埋め込む手術を初冬に実施した。今回は雄雌各1頭手術を行った。同時に環境測定用のデータロガーを飼育ケージ内に5カ所設置した。3月下旬に手術によって、飼育個体からデータロガーを取り出した。2頭中1頭に埋め込んだデータロガーからデータの回収に成功した。同時に、環境温度測定用のデータロガーも回収し、環境温度の推移も解析した。環境温度が冬期-20度前後を推移した1-2月に、キバノロの体温が30度以下になることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定したどおりの研究が実施できている。学会発表や学術論文の作成も行っている。
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今後の研究の推進方策 |
一昨年韓国から日本へ持ち帰ったキバノロのホルマリン固定標本の肉眼解剖学的および組織学的解析を引き続き実施する。具体的には、 ホルマリン固定臓器標本を用いて原始的な反芻動物であるキバノロの骨格系、筋系、神経系、泌尿生殖器、内分泌系及び循環器系などを肉眼解剖学および組織学的に総合的に研究し、系統間で比較解析する。特に特殊皮膚腺(前眼窩腺、鼠径腺)の系統間比較解析や反芻動物に特徴的な胎子期の大膵島細胞の存在の確認、有蹄類に特徴的な副腎髄質の外帯、内帯の確認、甲状腺狭部の存在と構造の検索、反芻動物に特徴的な膵島のα細胞とβ細胞の分布などの研究を実施する。また、消化器系を肉眼解剖学および組織学的に解析し、食道筋層の構成筋の種類と分布および消化管内分泌細胞の系統間比較なども実施する。さらに死亡個体から採取した血清、腸管内容物や鼻汁スワブなどを用いて、腸管内寄生虫の同定をはじめ、各種感染症の疫学的な検査を継続する。昨年に引き続き、冬期の越冬戦略として休眠様低体温の利用の有無を調査するために、体温測定用のデータロガーの埋め込みを実施する。
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