研究課題/領域番号 |
23405046
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
環境農学
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
豊田 剛己 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30262893)
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キーワード | イネクキセンチュウ / イネネコブセンチュウ / イネネモグリセンチュウ / リアルタイムPCR / メタゲノム診断 |
研究概要 |
ミャンマーは輸出金額の5割以上を農産物が占める農業大国である。主要な輸出作物はマメ類、油糧作物(ゴマなど)、コメであり、これらの安定かつ持続的な生産がミャンマー国の発展には欠かせない。ところが、これらのいずれの作物においても植物寄生性線虫の被害が生じ始めている。近年、応募者らは各種の植物寄生性線虫を土壌から直接定量する方法を確立した。これにより正確・迅速な線虫定量が可能となった。そこで、イネを中心にミャンマーの主要作物において植物寄生性線虫の生息状況と作物被害の程度を見積もることが本研究の目的である。イネネモグリセンチュウ(Hirschmanniella oryza)、イネクキセンチュウ(Ditylenchus angustus)、イネネコブセンチュウ(Meloidogyne graminicola)という3種類の植物寄生性線虫が生息している稲作圃場において、播種時に殺線虫剤を施用し玄米収量への影響を見た。ネモグリセンチュウおよびクキセンチュウに汚染された圃場では対照区に比べて殺線虫剤処理区で収量が15%ならびに22%増加し、これら線虫により収量が低下している実態を明らかにすることができた。一方、ネコブセンチュウ汚染圃場では殺線虫剤の効果はまったく見られなかった。この原因として、5月~10月の栽培期間中一貫して湛水条件下にあったことから、ネコブセンチュウの活動が低下していた可能性が考えられた。ネコブセンチュウの生息状況は確認されているので、乾期のイネ栽培ではネコブセンチュウにより収量減がもたらされる可能性があると予測される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は研究実施体制を確立することができず、圃場試験を行うことが不可能であった。そのため、H23年度の予算の一部をH24年度に繰り越し、一年遅れで当初の圃場試験を行うことができた。ただし、10圃場程度での試験を予定していたが、現実には4圃場でしか試験できておらず、当初計画よりは遅れている。最大の原因は、研究協力者との連携不足であり、この点を改善する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ミャンマーの主要な植物寄生性センチュウ種を定量できるリアルタイムPCRプライマーの設計、それによる生息密度の分析、線虫による作物収量への影響を明らかにすることの3点から本研究を進める。
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