研究課題/領域番号 |
23405049
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 埼玉県環境科学国際センター |
研究代表者 |
王 効挙 埼玉県環境科学国際センター, 自然環境担当, 専門研究員 (20415392)
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研究分担者 |
米持 真一 埼玉県環境科学国際センター, 大気環境担当, 専門研究員 (90415373)
磯部 友護 埼玉県環境科学国際センター, 資源循環・廃棄物担当, 主任 (50415387)
細野 繁雄 埼玉県環境科学国際センター, 水・土壌研究領域, 領域長 (00415390)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 環境修復 / 土壌汚染 / 重金属 / バイオマス / 海外調査 / 環境農学 / 国際研究者交流 / 中国 |
研究概要 |
本研究では、深刻化する中国の農地汚染土壌を対象として、有用植物の利用により汚染土壌の有効利用と修復を同時にできる「収益型汚染土壌修復技術」の確立を目指している。 今年度では、予定していた中国の中西部(山西省)、東部(上海)、東北部(吉林省)において、多種な有用植物を用い、フィールド栽培試験または野外調査を行った。植物の生育状況、汚染物質に対する浄化能力、収益性、植物体内での重金属の蓄積特徴が明らかとなり、各地域において汚染土壌の浄化に適した資源植物を抽出することができた。 山西省の試験では、植物の全バイオマス量は、蓖麻>高粱=玉蜀黍>向日葵=油葵=大豆>菜の花>落花生の順であった。また、実の収穫量はトウモロコシと高粱が最も多かった。高粱はNi、Cu、Cd、Pb、Zn、As、Crの蓄積量が最も多かった。トウモロコシと蓖麻中も蓄積量が多かった。植物体地上部位の重金属蓄積量は全体的に茎と葉が最も多かったが、トウモロコシの場合は葉と実が最も多かった。上海市では、向日葵、菜の花が生育量も重金属の蓄積量も多かった。吉林省では、トウモロコシが収穫量、重金属の蓄積量が多く、収益性が高いと考えられた。 今年度の研究結果では、植物のバイオマス量、実の収穫量、収益性、修復能力を表す重金属蓄積量は植物の種類及び地域により大きな差が見られた。山西省では、高粱、トウモロコシ、蓖麻の蓄積量が多く、収益性が高いと考えられた。上海市では、菜の花、向日葵に修復効果と収益効果が見られた。吉林省においては、トウモロコシが、汚染土壌の有効利用と修復に適した資源植物であると判断された。以上のように、3地域の汚染土壌における修復に適した資源植物が明らかになった。バイオ燃料として利用可能な高梁、トウモロコシ、菜の花、向日葵等は重金属の蓄積性と収益性が高く、汚染土壌の修復と有効利用に活用できると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、当初の計画どおりに中国の東南部の上海市、中部の山西省、東北部の吉林省にて試験研究を実施した。 1)研究地域:予定どおりに上海市、山西省、吉林省で試験また調査を実施した。 2)研究目的:概ね達成した。計画通りに、植物の生育の特徴、汚染土壌における植物の生育特徴、植物の各部位のバイオマス量、植物中の異なる部位での重金属含有量と蓄積量、バイオ燃料用植物の汚染浄化能力、異なる植物の収益性等を明らかにした。3つの地域(上海市、山西省、吉林省)で適切なバイオ燃料用植物を選定することができた。 3)研究協力者:予定通り上海大学、山西農業大学、吉林省資源環境研究センターから協力が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今後、収益型土壌修復技術の確立試験及び野外調査を行い、収益型修復技術の機能評価及び国際環境協力技術としての政策提言を図る。具体的には以下のとおりである。 1. 収益型修復技術の確立試験:1)選出された適切な資源植物において異なる品種を用いてフィールド修復試験を行う。異なる品種の生育量、バイオ燃料として利用する場合の収益性、修復能力などから最も適した資源植物品種を抽出する。2)代表的対象地域における野外調査:吉林省等の鉱山汚染地域、上海市汚染調査試験地等において、生長している主要な植物の土壌修復及び土壌汚染の特徴に対し、更なる調査と分析を行う。以上の研究調査結果を総合的に評価し、汚染土壌の収益型修復技術を確立する。 2. 収益型修復技術における機能の評価:1)収穫量および収益性の評価、2)汚染物質の植物体内での分布および修復効果の評価 3. 国際環境協力技術としての政策提言:1)農用地汚染土壌における収益型植物修復技術の政策提言、2)中国農用地汚染土壌の有効利用と効率的修復システムの構想 4. 成果発表:技術の普及、科学技術教育を推進するため、国内・国際に研究成果を積極的に公表する。
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