研究課題/領域番号 |
23406001
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
石原 陽子 久留米大学, 医学部, 教授 (50203021)
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研究分担者 |
長谷川 豪 久留米大学, 医学部, 助教 (80383751)
中尾 元幸 久留米大学, 医学部, 助教 (60610566)
三宅 真実 大阪府立大学, 生命環境科学, 教授 (10251175)
大森 久光 熊本大学, 大学院・生命科学部, 准教授 (70271442)
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キーワード | 越境輸送物質 / 黄砂 / 呼吸器疾患 / 揮発性有機物 / 微生物 / 大気中微小粒子 / ナノ粒子 |
研究概要 |
2011年5月1-5日までの黄砂大量飛来時に、久留米市内でPM2.5が最大65μg/m^3に達し、大気中と個人サンプラー(屋内)のPM2.5測定値がほぼ同値を示した。非飛来時と比較して粒径1-7μm粒子の濃度と粒子表面積が著しく増大し、粒径30nm以下の超微小粒子数も増加した。本結果は、非黄砂時と黄砂時には肺内吸入の粒径分布が異なり、黄砂時には粒子数やSOx,NOx等の増加で呼吸器疾患患者の症状が増悪する可能性を示唆していた。加えて、微小粒子の増加は、肺胞領域での粒子沈着量と粒子総面積の増大による汚染物質搬送能の亢進を示していた。そこで、男女50~79歳の気管支喘息を含むCOPD患者と健常者を対象に健康調査を行ったところ、非黄砂時(2月)に比較して黄砂時に「咳」,「痰」,「喘鳴」、「起床時の痰の絡み」の増悪と「運動能力」、「健康状態の変化」、「健康全般」、「QOL」の明らかな低下を認めたが、飛来2ヵ月後には「咳」、「痰」は改善され、「起床時の痰」や「喘鳴」の回復が遅延していた。これらの結果は、黄砂が呼吸器疾患症状に影響を与える可能性を裏付けていた。黄砂発生源などの土壌抽出液の好気性及び嫌気性菌の培養コロニー数の検討では、ゴビ砂漠、タクラマカン砂漠、内モンゴル砂地に比較して中国黄土高原、北京市内で両者共に高く、コロニー形状も採取地域で異なることを認めた。越境輸送物質に発生源と同様な細菌・ウイルスが含まれているか否か同定が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に大気中及び個人暴露粒子測定用の機器類は、ウランバートルに配送し正常に作動することを確認済みであるが、気象条件や設置場所の選定などの問題で、平成23年度は測定ができず、24年度に測定を行うことで調整済みである。その点を除けば研究は研究計画通りに順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度秋より、ウランバートルで大気中及び個人暴露粒子測定を実施する方向で、共同研究大学と調整済である。また、モンゴル版の健康調査票の作成も最終段階にあり、秋以降大気中粒子の測定と共に本調査票を用いて健康調査が実施できる段階にある。
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