研究課題/領域番号 |
23406001
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応募区分 | 海外学術 |
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
石原 陽子 久留米大学, 医学部, 教授 (50203021)
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研究分担者 |
三宅 眞実 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (10251175)
中尾 元幸 久留米大学, 医学部, 助教 (60610566)
大森 久光 熊本大学, その他の研究科, 教授 (70271442)
長谷川 豪 久留米大学, 医学部, 助教 (80383751)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / 中国 / モンゴル / 韓国 / 呼吸器疾患 / 黄砂 / 微生物 / 大気中微小粒子状物質 |
研究概要 |
ウランバートルで2012年5月、9月に大気測定と40歳以上の住民400人の健康診査を実施した。その結果、肺機能検査実施者381名中、慢性呼吸器疾患の有病率は38.2%で、ゲル地区と市街地で有意差は認めなかった。喫煙率は27%で、男性の慢性閉塞性肺疾患患者のほとんどが喫煙者であった。ウランバートル市の9月のPM10は、150μg/m3を超過したが、PM2.5は35μg/m3以下であった。それに対して、零下20度の3月では、PM2.5, PM10ともに35μg/m3, 150μg/m3を超過した。3月の測定では、PM2.5, PM10ともに大陸からの影響により久留米市で両者が高値を示した同日にウランバートル市でも高値を示した。一般に、PMは昼間に高く、夜間に低値を示すが、この期間は昼夜ともに高値を示した。 黄砂飛来前、飛来中、飛来後の慢性呼吸器疾患の健康影響については、ウランバートル市のほかに、中国(北京、承徳)、韓国(ソウル)、日本(山口、熊本、新潟、長崎)で継続測定中である。2012年度と2011年度の調査結果を集計、解析中であるが、中間評価としては、黄砂時に健常者に比較して呼吸器疾患有症者で呼吸器症状が増悪したと回答した割合が高く、特に気管支喘息患者で高かった。土壌での細菌・ウイルスの定性・定量では、コロニー数は重量に比例して増加したが、火山灰やタクラマカン砂漠の試料からは好気・嫌気培養でコロニーは認めなかった。それに対して、中国黄土地帯の大同の土壌では、好気培養コロニーが多かったが、炭疽菌やボツリヌス菌は検出限界以下であった。PM10フィルター捕集試料のDNA sequenceでは、上位をBacillus属が占めた。今後、黄砂時の試料や芽胞についての検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
米国からのヘリウムガスの供給低下による大気中炭素成分を含めた成分分析の遅延、日中問題による調査協力施設での調査や合同会議の中止や延期が発生したが、概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
調査を継続と共に、新モンゴル版健康調査票の信頼性と妥当性の検討を行う。これまで蓄積した結果から越境輸送物質の地域的な質的量的特性を明確にするとともに、これらの物質の健康影響について国際間及び地域間での差異について明らかにする。得られた結果を総括して、国際間での越境輸送物質成分の健康影響についてさらに信頼性の高い研究を行うための計画を立案する。
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